七聖を傷つけるなんて……許さねぇ!
待ってろ、七聖。
守ってみせる。何もかも。
✿七聖side✿
さっきから楽しんでる柊。
なにがそんな楽しいんだろ……。
にしても、頭痛い……クラクラする。
悪化してきてるかな?熱……。
こんな、簡単に連行されるなんて……!
私、なにやってんだよっ……。
柊
「いやぁ〜、これから面白いことになるね」
「そうですね、総長!やっとです!」
武道館の、観客席にいる私たち。
──バンッ!
思い切りドアが開いて、たくさんの人が続々と競技をするとこに出てきた。
優心っ……みんな……!
柊
「おおー、早いねー」
優心
「おい!七聖を返せ!」
柊
「敵なのに、大事なの?」
私を人質にして、ナイフを向けた柊。
っ……。
朝陽
「七聖、病み上がりなのにまた再発してる」
蓮
「貧血持ちなのに……!!」
お父さんやお母さんに、舞衣さんまで。
舞衣さんの横にいるのは、優心のお父さんなのかな……。
優心
「大事に決まってんだろ……!この世界で、誰よりも大事な女だ!」
優心……っ。
柊
「へぇ〜……じゃあ、戦ってよ。天王と海王でさ?勝った方に七聖ちゃんあげるよ」
え……?
琥太郎
「ふん、簡単だな。お前ら!」
う、嘘、戦わないでっ!
私
「待って……っ!!」
武道館に、私の声が響いた。
私
「お、願いっ……戦わないで!」
もし、海王が勝ったら?
白狐と戦わないといけない。
もし、天王が勝ったら?
白狐にやられるかもしれない。
蒼馬
「七聖?」
私
「ごめん……っ!私っ、天王と海王が戦うのなんてやだっ!」
琥太郎
「なに言ってんだよ。兄さんを殺した族だろ」
蒼馬
「そうだよ七聖!それに、天王の部下もやられてるんだよ」
蓮
「正気に戻れよ!海王は敵なんだ!」
そんなの……わかってる。
でも……。
私
「海王はっ……人を殺めない!」
優心
「七聖……」
私
「海王のみんな、あったかいよ!優しくて絆があって、無駄のないケンカなんかしない」
琥太郎
「呆れたな。天王の総長らしからぬ言動」
私
「だって!海王の総長は人思いなんだ!人の痛みを分かってあげれる人なんだよ……!」
柊
「ハッハッハ!仲間割れ?いいねいいねぇ、もっとやりなよ!」
ハッ……。
これじゃ、仲間割れになる……。
こんなの……やだよ。
望んでない……っ。
柊
「いやぁ〜、いいね!その顔!その顔が見たかった!」
っ……!
柊
「悔しいなぁ?守りたいもの守れなくて。まぁ守りたいもの何個もあるなんて欲張りだ」
欲張り……。
私
「……の」
柊
「えー?なに?聞こえない」
私は思いっきり足に力を入れて、ナイフを蹴りあげた。
幸い、足は縛られてないから難なくナイフを蹴飛ばした。
柊
「っ……」
私
「守りたいもの守って、何が悪いの!」
あーもう……頭痛いしクラクラするし。
イライラ止まんない。
私
「私は欲張りだよ!!だってそうでしょ!?天王も海王も守りたいんだもん!戦ってなんかほしくない!優心となんか、戦えない!」
優心
「っ七聖……」
ポタッ……と、涙が出た。
そのせいか、溜めてたものが一気に溢れる。
私
「私はっ……天王が大好きだよ。唯一の琥太郎がいて、従兄の蒼馬がいて、蓮が、大和がいて。お父さんもお母さんもいて」
柊は呆然としてる。
言いたい……っ。
この感情、抑えきれないっ……!
私
「でも、海王も大好きなんだ!みんな、みんな大好きなの!それに……っ、初めて心から好きになった人守って、何が悪いの!」
蒼馬
「七、聖……」
琥太郎
「あのバカ……」
私
「私はもうとっくにわかってる!白狐がお兄ちゃんを殺したことくらいっ……!」
柊
「ハハッ……元気だねぇ」
私
「そうだよ!いつだって強気で元気な帝七聖が天王の総長だ!わかってるよ、こんなの総長の資格ないって。みんなに幻滅されるってことも……」
彩香
「っ七聖……」
私
「今だって……すごく、怖い……。でも、私は逃げたりなんかしない!絶対白狐を倒す!お兄ちゃんの死の真相を見つけるの!あんたなんかに天王も海王も傷つけさせない!」
柊
「へぇ……足、震えてるのに」
私が白狐だと決めつけてる理由。
だって、偶然にも程がある。