世界No.1暴走族・天海朧月 下

きょとん、とした七聖。

琥太郎
「兄さん、いい加減ウザイぞ。認めてやれよ」

蒼馬
「さすがに七聖が可哀想……」

ふたりまで!?


「蒼馬、お前確か七聖のこと……」

蒼馬
「優心に譲ったんだよ。俺ら全員七聖が好きだったけど諦めた。相手が優心だから」

マジか……。


「優心、お前そんな強くなったのか」

優心
「おう!だから父さんたちに七聖の護衛も頼まれてたんだけど、疾風さん認めてくれないなら全部パーで七聖守れなくなるな」

くっ……。
七聖は優心と出会ってこんな変わったのか?

女の子らしいというか……。

めちゃくちゃ可愛くなってるし。

……しょうがないか。


「わかったよ……同棲すれば」

七聖
「え!ホント!?」

パァァァっと満面の笑みを見せた七聖。

こんな顔をさせる優心が憎たらしいな。


「その代わり!絶対抱き合ったりすんなよ!高校生で確かにするのは普通だけど、万が一ってこともあんだからな!!」

琥太郎
「兄さん下品……。七聖、優心、気にすんな」

優心
「まーとりあえず俺寮出るから、準備する間七聖見ててくれない?」
そういうことだったのか……。

優心
「じゃー七聖、行ってくるから待ってて」

七聖
「一応気をつけてよ?怪我とかして帰ってきたら許さないからね」

優心
「わーかったって。んじゃあお前ら頼んだ」

一同
「はーい」

な、なんだこの茶番……。

ダメだ、目眩がしてきた……。


「残念だなぁお前。離れてるからこうなるんだぞ〜?」

ポンッと肩に手を置いた剣。


「うっせぇ……!!」

いいんだよ別に!
こうなったらヤケクソだ!!


「妹の幸せは兄弟の幸せとも言うからな!」

琥太郎
「でも兄さん、涙出てるよ……」


「そりゃそうだろ!七聖が花嫁だぞ!俺はもう涙しか出てこねぇよ……」

朝陽
「まぁ、お互いに必要不可欠だからね」

蒼馬
「これからも何度も言い合いしてくんだろうねあのふたり」

言い合いできる仲なのか……。

翔悟
「疾風さんも!俺らと一緒に見守ろ!!」


「そーそー!案外楽しいもんだよ?」

大和
「優心は絶対七聖に勝てねぇもんな〜」

「七聖のお願いならいくらでも聞くっしょ」

……まぁ、見守ってやるか。

今まで一緒にいてあげれなかったぶん、これからは兄としてちゃんと見守ろう。

七聖
「みんなしみじみ語らないでよ」

日向
「七聖にも見せてやりたかった!楓やっつけてる時の総長!!」


「あれはカッコイイよな!でも、初めて見たよあんなサイコパスっぽいの。あれは殺っちゃうのかと思った」

まぁ……大丈夫か。

優心なら、七聖を守ってくれるだろうし。

✶優心side✶

七聖の家でハンバーグを作ってる俺。

……だけど、すげー見られてる。

何にって……カウンターに座ってこっちを見てる七聖に。

可愛い……すごく、いや、めっっっちゃくちゃ可愛い。

でも、なんか照れるとゆーか……。


「七聖」

七聖
「ん?」


「そんなに見て面白い?」

七聖
「面白いってゆーか……料理してる優心ってレアだから、見てたいなって」

理由まで可愛いんだけど。
なんなのこの子。

七聖
「ねぇねぇっ、今度優心と一緒にご飯作りたいなぁ。ダメ?」

待って、可愛いお願いまでされたんだけど。

ダメだ、さっきから可愛いしか出てこない。

そんなこと好きな女から言われたら、


「いいけど……」

って言うに決まってんじゃん……。

七聖
「やったぁ……!何作ろっか」


「んー、あ!トンカツとか!あとコロッケ!」

七聖
「どっちも揚げ物だね?優心揚げ物好きだよね」

揚げ物は全部美味いから!!
七聖
「絶対一緒に作ろーね!」


「おう!約束な!」

そんなこんなでチーズハンバーグが出来上がり食卓に並べた。

七聖の真向かいに座って、手を合わせた。

俺&七聖
「いただきます!」

七聖はハンバーグを一口食べた。

ぶっちゃけ、人に作ったのは初なんだけど。

七聖
「ん〜っ、おいひぃ〜!」

目を細めて幸せそうに食べる七聖。

ホント美味しそうに食べるよな……パフェの時もそうだったし。


「ハムスターみたいだな」

七聖
「優心も食べてみなよ!美味しいから!!」
作った人に言うとか……。

そう嬉しく思いながらも一口食べた。


「ん!美味っ!やっぱりチーズだな!」

このとろけ具合がたまんない……。

七聖
「また優心の作ったの食べたいっ!」

うっ……。

なんだよ、こんな甘え方するとか。

いや、わがままか……?

そんなんお願いされたら、


「七聖が食べたいもん作ってやるよ!」

って言うしかねぇじゃん……。

この際だし、スイーツとかも覚えとくか。

七聖好きだし……。