私
「優心の手作り食べたことない!!」
優心
「それは七聖の作るご飯が美味いからじゃん」
……ちゃっかり嬉しいこと言っちゃって。
私
「でも腕も治ったよ?」
優心
「アーホ。七聖に働かせたくねぇの!」
もう安静にしてるだけなのに。
みんな大袈裟だな……。
でも……またこうしていられて、嬉しい。
優心
「七聖が完治するまでキスもしないって決めてんだからな!」
私
「え、なんで……?」
優心
「……最近、気づいたんだよ。……七聖にキスすると抱きたくなってしょうがなくなる」
……っ。
ま、まだ1回しかしてないのに……っ。
私
「っ……優心のバカ!」
優心
「言ってろ言ってろ!それで元気になんならなんでもいい!!」
いつもなら言い返すくせに……。
なんて思ってると、右手を握られた。
優心
「七聖はもっとわがまま言ったり甘えたりできるようになんねーとな!これから先一緒にいんだし、たくさん甘えろよ?俺に」
っ……。
な、なんでこんな彼氏みたいなことを言いまくってるの優心……っ!
いや、彼氏なんだけども!
……わがまま言ったり甘えたり、そういうのあんましたことないな。
これでも優心にはできるようになったんだけどなぁ。
私
「……チーズハンバーグ」
優心
「え?」
私
「っだから、チーズハンバーグ!今日の夜ご飯それがいいっ」
今は、こんなわがまましか言えないけど。
優心をチラッと見ると、目をキラキラさせていて。
優心
「マジ!俺もチーズハンバーグの方が好きなんだよ〜!!つか、わがまま可愛すぎだろ」
優心もチーズハンバーグが好きなのか!
そんなこんなで、私たちの同棲生活が始まろうとしていた。
❈疾風side❈
あーあー、七聖に全然会えない。
剣
「おい疾風〜、なに怠けてんの」
倉庫の3階でゴロついてると、剣がそう言ってきた。
俺
「七聖が俺に会いに来ねーの!」
琥太郎
「そりゃそうだろ。今愛を育んでるんだから」
琥太郎!お前はそれでいいのか!!
蒼馬
「ふたりっきりにさせときましょうよ、疾風さん」
翔悟
「でも抗争の時の優心はビビったな!あんな優心見たの初めてだったし!」
にしても、みんなデカくなったなぁ……。
お兄ちゃん、なんか悲しいぜ……!
朝陽
「あの優心がガチギレだからね」
大和
「そんなヤバいことなのか!?」
凪
「今まではただ一撃で終わらせてたんだよ?面倒だから。でも楓には、わざと一撃で終わらせずに長時間生き地獄見せてたからね」
優心も強くなったなぁ……。
七聖
「そんなに優心、怒ってたんだ……」
……ん?
階段を見ると、優心におんぶされてる七聖がいた。
俺
「七聖!?」
七聖
「ってか優心、そんなにケンカ強いの?」
優心
「当たり前だろ!俺をナメんなって」
よいしょ、と椅子に座らせた優心。
七聖
「歩けるって言ったのに」
優心
「危ないだろ?まだ完治してないかもだし」
蓮
「優心、今日はもう家に帰るんじゃなかったっけ?最近そうだったじゃん」
優心
「あぁ、七聖の離れに住むことになった!」
………は?
って………同棲!?
剣
「おー!よかっ、」
俺
「はぁぁぁぁあっ!?ふっざけんな優心!!」
優心の肩を掴んだ俺。
優心
「っ!?いきなりなんだよ!?」
俺
「なんだよじゃねぇーよ!俺の可愛い可愛い妹と同棲だぁ!?邪100%じゃん!!」
優心
「はぁーっ!?親公認なんだけど!」
マジかよ……!
あの、父さんが……!?
一見七聖に冷たいけど、実は誰よりも七聖を溺愛してて俺ら兄妹弟の中で一番七聖を溺愛してる父さんが!?
俺
「ありえねぇ……!」
剣
「でもその時俺いたけど?」
はぁっ!?
七聖
「……お兄ちゃん、ダメなの?」
う……っ。
七聖の声がして七聖を見ると、不満な顔を向けてきた。
こんな顔されたことねぇのに!
俺
「だ、ダメだ……」
惑わされるな俺!
ここは兄として、
七聖
「そっか……ダメなんだ。やっぱりわがまま言っちゃダメだよね……」
シュン、と肩を落とした七聖。
優心
「あーあー、疾風さん最低〜。せっかく七聖わがまま言ったり甘えたりできるようになったのに」
っ七聖が!?
つか、待って……。
俺
「俺が離れてる間に、七聖変わりすぎてね?」
きょとん、とした七聖。
琥太郎
「兄さん、いい加減ウザイぞ。認めてやれよ」
蒼馬
「さすがに七聖が可哀想……」
ふたりまで!?
俺
「蒼馬、お前確か七聖のこと……」
蒼馬
「優心に譲ったんだよ。俺ら全員七聖が好きだったけど諦めた。相手が優心だから」
マジか……。
俺
「優心、お前そんな強くなったのか」
優心
「おう!だから父さんたちに七聖の護衛も頼まれてたんだけど、疾風さん認めてくれないなら全部パーで七聖守れなくなるな」
くっ……。