世界No.1暴走族・天海朧月 下


「っそんなの、私だってそうだよ……!優心とずっとずっと一緒にいたいの。嫌いなんて微塵も思ってないの……っ。どうしようもないくらい好きなの。大好きなのっ……」

溢れ出る涙を、拭ってくれる優心。

もう、離れたくない……。

優心
「泣くなよ……七聖」


「ん……っ、優心……」

優しいキスをされる。

もう、涙止まんない……。

会いたかった。触れたかった。

もう一度、名前を呼んでほしくて。

私を抱き締めて、離さないでほしくて。

ただただ、会いたくてたまらなかったんだ。
優心
「はー……マジで好き」

ギュッと抱き締められる。

あったかい……っ。

もう二度と、離れないよ……。

優心
「元気になったら、またどっかデートでも行こうか七聖」


「え!いいの?」

優心
「おう!そのためには元気になんねぇとな!」


「あはは……頑張る」
✤琥太郎side✤

七聖が目を覚ましたと聞いて、俺らは優心の家に来た。

……が、俺は今幻覚を見てるのか?

七聖
「ちょ、優心っ、自分で食べれるってっ!」

優心
「はぁ?その右腕でどうやって食うんだよ!」

七聖にハンバーグを食べさせてる優心。

まるであの日の日常のような……。

七聖
「あ、み、みんな……っ」

疾風
「七聖っ……お、お前、いつのまに彼氏なんかできたんだよぉぉお!!!」

七聖
「私の勝手でしょ?離れて帰ってこなかったお兄ちゃんが悪いもんねー」
ぷいっとそっぽを向いて優心に食べさせてもらう七聖。

つか……。

ケンカとかしなかったのか?

むしろ、なんかラブラブ度が増してる……。

蒼馬
「ふたり、さらに仲良くなったね……?」

七聖&優心
「え」

大和
「そうだぞお前ら!イチャイチャしやがって」


「ふたりギクシャクすんのかなって気になって損だったよ」

それは俺も思ってた。

でも、ふたりを見る限り復縁したようで。

朝陽
「たくさん食べないと元気にならないからね」
翔悟
「肉だ肉!いっぱい食えよな!」


「七聖はただでさえ細いのにさらにげっそりしちゃったし」

七聖
「あはは……」

まったく……。


「七聖は俺らのために頑張りすぎ……」

七聖
「う、だって……」

優心
「まぁまぁ。過ぎたことなんだしいいじゃん?なっ、なーなせ!」

………なんか。


「優心、なんか丸くなったな〜」

優心
「兄ちゃん……」
彩香
「でもよかったわ……っ。もう七聖、目を覚まさないのかと……」

七聖
「お母さん……お父さんもみんなも、たくさん心配かけてごめんなさい」

瑠衣
「いいんだ。こうして生きてくれてるから」

文也
「そーそ〜。俺たち親は七聖ちゃんの花嫁姿見たいしね」

舞衣
「ま、ラブラブで安心したけど」

にしても……。

楓を絞めてる時の優心は、見たこともないくらい別人だった。

今はニコニコ……とゆーより、完全に頬を緩めきってるけど。

あの時は冷酷で心底腹を立ててて、誰も止めなかったら殺してただろう。
それほど七聖に必死だったからな……。

七聖
「お兄ちゃん、今までどこにいたの?」

疾風
「あぁ、九州にいたんだよ。白狐から身を隠してたら中々帰れなくて。帝って有名だし」

ホント、兄さんのことを説明すんの疲れた。

みんな、混乱してたし。

その時。


「七聖さ〜んっ!!!!」

と、叫びながら雫ちゃんが入ってきた。

七聖
「あ!雫ちゃん!!」


「よかった!よかったぁ〜!輸血して目が覚まさなかったらどうしようかと……」

七聖
「雫ちゃん、本当にありがとう……!同じO型で嬉しいよ」
ぽんぽんっ、と雫ちゃんの頭を撫でてあげる七聖。

妹みたいだな、雫ちゃん。

日向
「早速ラブラブしてるんですかふたり!」


「懲りないすね………」

後からやってきたふたりも呆れてた。

でも、なんかいいなやっぱり。

こうして、みんなで笑いあえて……。

平和な日常が、戻ってきた。

それだけで……幸せだ。
✿七聖side✿

あれから身体も良くなり、車椅子からようやく足で歩けるようになった。

優心
「大丈夫?疲れてないか?」

優心の家のリビングに行ってソファに座ると、隣に座ってくれた。


「大丈夫だよ!早く元気になんなきゃね!」

優心
「学校帰りじゃないと会えないのがもどかしいな……」

今は学校帰りで、倉庫に行かずにここに来てくれてる。

優心
「一緒に住めたらいいのに……」

文也
「なんも、住めばいいじゃないか」

……え?