振り向くと、父さんたちとみんながいた。
俺
「俺もわかったとこ」
楓を最後に蹴りあげて、俺は庭へと急いだ。
庭に行くと、言ってた通り木が2本あった。
すぐそばにスコップが置いてある。
俺
「琥太郎、掘るの手伝って」
琥太郎
「あぁ」
琥太郎と一緒に土を掘ると、鉄の扉が顔を出した。
……この中か?
スコップを投げて扉を開けると、中は真っ暗。
その中に……、
俺&琥太郎
「七聖っ……!!」
血だらけの七聖がいた。
中に飛び降りて七聖を抱き上げると、身体が冷たかった。
七聖……。
俺
「七聖っ、七聖!」
琥太郎
「微かに息はしてるな。とにかく上に上げよう」
七聖の手足に縛り付けられてる縄を解いて、七聖を横抱きに持ち上げた。
そのままハシゴを登る。
疾風
「七聖っ!」
俺
「とにかく、出血多量がやばい。父さん、病院に連れてこう」
文也
「それなら問題ない。車で高速に乗ろう」
俺は七聖を抱いたまま車に乗り込んだ。
運転席に父さん、助手席に瑠衣さん。
七聖……3日間、ずっと耐えてきたのか?
こんな、こんな再会なんて……。
指にしていた真紅の指輪を七聖にはめてあげた。
もう二度と……離さない。
絶対に……。
「輸血が必要ですね……」
医者がそう言って、場がどよめいた。
彩香
「七聖はO型なのよ……琥太郎も疾風もA型なのよ……」
……え。
俺
「俺もA型……」
蒼馬
「俺B……」
蓮
「俺もB……」
大和
「俺も……」
朝陽
「海王にはOいないね……」
凪
「天王もそうじゃなかったっけ?大和」
マジかよ……。
日向
「……あ!雫!雫確かOだ!」
樹
「そうだったな!俺迎えに行くわ!!」
樹はそう言うと、部屋を出ていった。
七聖……また、目を開けてくれるよな?
それからしばらくして雫ちゃんがやってきた。
雫
「な、七聖さんっ!無事なんですか!?」
医者
「輸血が必要なんです。O型ですか?」
雫
「はい!もう、どうぞ!!私貧血は持ってないので!!」
それから輸血が行われた。
元々貧血持ちな七聖は雫ちゃんのおかげですぐに容態が良くなった。
医者
「一命は取り留めました。あとは目覚めるのを待つのみです。治療はしました」
これで……目を覚ましてくれれば。
ギュッ、と七聖の右手を握った。
彩香
「七聖……どうして何も言ってくれないの」
瑠衣
「……七聖は俺らを守りたかったんだろ」
七聖……。
頼むから、もう一度目を覚ましてくれよ。
これからもずっと……そばにいたい。
お前以上の女なんて、いないんだよ。
俺の眼中、七聖だけなのに……。
俺は願いを込めるように七聖の手を握った。
✿七聖side✿
目を開けると、いつかの天井が見えた。
ここ……どこだっけ。
身体を起こそうとするも、力が入らない。
私……夢を見てるのかな。
チク、タク、と時計の音が聞こえる。
私、地下にいたはずなのに……。
今は月明かりのお部屋にいて、時計の音を聞いている。
私、死んだのかな……。
なんとか部屋を見渡そうと目線を下げると、
私
「え……?」
私の手を握って寝てる、優心がいた。
え……優心?本当に、優心なの?
私
「優心……?優心」
何度か呼ぶと、優心の顔が上がった。
優心
「ん…………え、七聖?」
私の手を握ってない方の手で目を擦った優心。
優心
「っ七聖!?大丈夫か?わかるか?」
っ……優心だ。
私
「わ、私……死んでないの?」
優心
「生きてるよ……っ!よかった、七聖……」
はぁーっと息を吐いた優心。
どうして……。
私
「私、死にかけで地下に……」
優心
「俺が楓?って奴を再起不能にして問い詰めたんだよ。んで琥太郎と……ってそう!疾風さんが七聖の場所を教えてくれたんだよ!!」
……え?
今、疾風さんって言った?
私
「お、お兄ちゃん……?」
優心
「そう!急に倉庫に来たんだよ!兄ちゃんが連れてきたんだ!」
お兄ちゃん……帰ってきたんだっ。
私
「よかった……あ、でも白狐は……」
優心
「俺の話聞いてた?全員一人残らず再起不能にした。抗争は俺らの勝ち」
っ……よかった。
私
「爆弾で……っ、みんなが死んじゃうと思った」