世界No.1暴走族・天海朧月 下

✶優心side✶

あれから2日が経った。

けど、一向に見つからないままで。


「クッソ……どこなんだよ!」

朝陽
「目撃情報もなにもない……」

琥太郎
「ここまで探してもいないとか……」

本当にやべぇ……。

日向
「総長!学校周辺の倉庫や廃工場や廃墟を探しましたがどこにもいません!」


「……そうか」

どこにいんだよ……っ!

柊の、いそうな場所………。
わかんねぇ……っ。

あれから何度も電話してるけど、繋がらないままだし。

七聖………。

なんで、俺のそばから消えたんだよ……っ。

なんで……。

「おい!お前ら!!」

……ん?

顔を上げると、兄ちゃんの隣に見たことのある男がいた。

……っ、まさか。

一同
「は、疾風さんっ!?」

疾風
「七聖なら、俺が殺されるはずだった建物にいるはずだ!説明は後で!行くぞお前ら!」
なんで疾風さんが……ここにいるんだ?

でも、そんなことよりも助けないと。


「兄ちゃん!組のみんなは向かってるか?」


「おうよ!早く七聖ちゃん助けねぇと!さすがに2日も空いてるのはやべぇって!」

七聖っ……待ってろよ。

今、俺らが助けに行くから……っ。

だから、死んだりなんかすんなよ……!
✿七聖side✿

もう何日、殴られて蹴られてを繰り返してるのかな……。


「ははっ、声も出なくなった?」

体力がありすぎるコイツ……。

私のセーラー服は汚れて、身体中血やアザが出来てた。

もう感覚もなくなってきた………。

息も、しづらいし。


「柊ぃ、そろそろ埋める?」


「準備できた〜」

……埋める?

わからないまま柊に持ち上げられた。

そして朦朧としている中、どこかに連れていかれる。
外に出て、土を掘った楓。

すると鉄の扉が出てきて、それを開けた。


「最後に愛しの優心くんに会えなくて残念だったね〜。七聖ちゃん」

柊は中に入ると、床に私を置いた。

冷たい……。


「まぁ、頑張った方じゃない〜?じゃーね」

柊は地上に上がると、扉を閉めた。

……真っ暗だな。

寒いし冷たいし……もう、限界かも。

………疲れた。

優心……みんな……。

あの人たちが、少しでも平和でいられますように……。
✶優心side✶

疾風さんに着いてきて、たどり着いたのは海辺にあるひとつの家……?だった。

疾風
「ここにいるのは間違いない。実際白狐の奴ら潜んでる。ここは楓の別荘なんだ」

別荘……。


「行くぞ、みんな」

蒼馬
「相手は武器を持ってる。気をつけよう」

建物の中に入ると、広間みたいなとこに出た。

そこには、たくさんの男たちがいて。


「やぁ〜、一足遅かったね〜」

一番前にいた柊の隣にいる男。

コイツが楓……?

「おい。七聖はどこだよ」


「ん〜?声も出なくなって死んだよ?ついさっき」

………あ?

今コイツ、なんつった……?

琥太郎
「七聖はどこだってウチの総長が聞いてんだよクズ。答えろ」


「しつこいなぁ。俺らに勝てたら教えてやるよ」

コイツに勝てたら……。


「……お前は俺が再起不能にしてやるよ。お前ら!!全員一人残らず再起不能にして縛りつけろ!」

一同
「はいっ!!」
その瞬間。

広間にいた奴ら全員が襲いかかってきた。

翔悟
「優心!お前はアイツに行け!」

大和
「早く七聖を助けねぇと!」

俺に襲いかかってきたふたりを一撃で沈めたふたり。


「ありがとな」

俺は奥にある扉を開けて、廊下に出た。

どこに行ったんだ……?

そう思いながら角を曲がった時。


「っ……!」

壁一面に、七聖の写真が貼られてた。

なんだよ、これ……。

殴られてる写真、蹴られてる写真、その他もろもろ……。
狂ってやがる……。


「バッカだよね。自分の命より仲間の……愛する人の命を守るなんてさ」

横を見ると、ニコニコと笑う楓がいた。

コイツ……。


「まさか……七聖を脅したのか?」


「正解。ていっても、取引だよ。爆弾テロを仕掛けられたくなかったら君と別れて殺されてって。七聖ちゃんがひとり生き残って愛する人が殺されるか、七聖ちゃんが殺されて愛する人が生き残るか」

っ……汚い。

ハッキリ言える。

同時に、コイツを今すぐ殺したくなった。


「おい……七聖はどこだよ」