楓
「つまんなー……なぁ、どう殺してほしい?」
カラン、と鉄パイプを投げて、座った楓。
どうって……コイツ、サイコパスか。
私
「そんなのわかんない」
楓
「頭から血出して身体中怪我だらけなのによくまだ頑張れるね?」
私
「……どれくらい経った?」
楓
「んーと、1日だね。ちょうど」
よく寝ずにやるよね……。
ってことは、1日私何も食べてないんだ。
まぁ、これから死ぬ人間が食べても無駄でしかないけど。
私
「てっきりすぐ殺すんだと思ってた」
楓
「えー?だって、つまんないじゃん」
さっきからつまんないしか言ってないじゃん。
でも、そっか……。
優心の彼女やめて、1日経ったんだ。
優心……今頃なにしてるかな。
みんなも……。
楓
「あーあ。疾風を殺れたら最高だったのに」
………え?
今、なんて……。
楓
「ねぇ教えてよ。疾風の居場所」
コイツ……お兄ちゃんじゃないってわかっててなんの関係もない人を殺したんだ。
私
「お兄ちゃんの居場所は、わからない」
私だって、知りたいんだもん。
けど、私の答えが気に触ったのか、楓は顔を歪めるとカッターで私の足を切ってきた。
っ……。
楓
「知らないわけないじゃん。教えてよ」
私
「っ本当に知らないの!私だって、つい最近お兄ちゃんが生きてること知ったんだから!」
楓
「あーイライラする……」
腹いせに、重たい蹴りが飛んできた。
コイツ……本物の殺人鬼だ。
でも……だからこそ、守らなきゃ。
私は……みんなを守りたい。
✶優心side✶
あれから2日が経った。
けど、一向に見つからないままで。
俺
「クッソ……どこなんだよ!」
朝陽
「目撃情報もなにもない……」
琥太郎
「ここまで探してもいないとか……」
本当にやべぇ……。
日向
「総長!学校周辺の倉庫や廃工場や廃墟を探しましたがどこにもいません!」
俺
「……そうか」
どこにいんだよ……っ!
柊の、いそうな場所………。
わかんねぇ……っ。
あれから何度も電話してるけど、繋がらないままだし。
七聖………。
なんで、俺のそばから消えたんだよ……っ。
なんで……。
「おい!お前ら!!」
……ん?
顔を上げると、兄ちゃんの隣に見たことのある男がいた。
……っ、まさか。
一同
「は、疾風さんっ!?」
疾風
「七聖なら、俺が殺されるはずだった建物にいるはずだ!説明は後で!行くぞお前ら!」
なんで疾風さんが……ここにいるんだ?
でも、そんなことよりも助けないと。
俺
「兄ちゃん!組のみんなは向かってるか?」
剣
「おうよ!早く七聖ちゃん助けねぇと!さすがに2日も空いてるのはやべぇって!」
七聖っ……待ってろよ。
今、俺らが助けに行くから……っ。
だから、死んだりなんかすんなよ……!
✿七聖side✿
もう何日、殴られて蹴られてを繰り返してるのかな……。
楓
「ははっ、声も出なくなった?」
体力がありすぎるコイツ……。
私のセーラー服は汚れて、身体中血やアザが出来てた。
もう感覚もなくなってきた………。
息も、しづらいし。
楓
「柊ぃ、そろそろ埋める?」
柊
「準備できた〜」
……埋める?
わからないまま柊に持ち上げられた。
そして朦朧としている中、どこかに連れていかれる。
外に出て、土を掘った楓。
すると鉄の扉が出てきて、それを開けた。
柊
「最後に愛しの優心くんに会えなくて残念だったね〜。七聖ちゃん」
柊は中に入ると、床に私を置いた。
冷たい……。
柊
「まぁ、頑張った方じゃない〜?じゃーね」
柊は地上に上がると、扉を閉めた。
……真っ暗だな。
寒いし冷たいし……もう、限界かも。
………疲れた。
優心……みんな……。
あの人たちが、少しでも平和でいられますように……。
✶優心side✶
疾風さんに着いてきて、たどり着いたのは海辺にあるひとつの家……?だった。
疾風
「ここにいるのは間違いない。実際白狐の奴ら潜んでる。ここは楓の別荘なんだ」
別荘……。
俺
「行くぞ、みんな」
蒼馬
「相手は武器を持ってる。気をつけよう」
建物の中に入ると、広間みたいなとこに出た。
そこには、たくさんの男たちがいて。
楓
「やぁ〜、一足遅かったね〜」
一番前にいた柊の隣にいる男。
コイツが楓……?