優心
「……七聖は元々可愛いから今日はすげぇ大変だったんだからな。すれ違う男ども彼女連れてるくせに七聖に赤面しやがってて」
俺
「まぁ、七聖は無自覚だからな……」
剣
「可愛いって言ってあげた?」
優心
「……」
小さく頷いた優心。
優心はすげぇ七聖を大切にしてるからな。
……兄さん、今、どこにいるんだ?
七聖に、頼もしい彼氏ができてんだぞ。
見に来いよな……兄さん。
✶優心side✶
七聖をおんぶして、離れに着いた。
ったく、スヤスヤ寝てんじゃねーよ。
合鍵で鍵を開けて、2階に行く。
ベッドに七聖を降ろして、少し考えた。
つか、服とか変えた方がいいよな?
いや、でもさすがにまた下着姿を見るわけにはいかない……。
……布団かけとくか。
そう思って布団を触った時。
七聖
「ん……?……優心?」
名前を呼ばれて七聖を見ると、寝ぼけた顔で俺を見てた。
起きたのか?
俺
「おはよ七聖。着替えた方が……っ!?」
俺の腕を引っ張って、自分の方に引き寄せた七聖。
慌てて手をついた。
あっぶね!七聖潰すとこだった!
七聖
「えへへ……いい匂い」
ギューッと俺に抱きついてきた七聖。
っ……可愛すぎるだろ、これは。
俺
「はぁ……抱きたい、そろそろ」
俺もベッドに入って、七聖を抱き締めた。
七聖
「………」
ん?無言?
七聖を見ると、またうとうとしてて。
俺
「寝とけよ、七聖」
七聖
「んー……まだ、優心と起きてたい」
俺
「やけに素直じゃね?なんで?」
七聖
「明日になったら、また倉庫行かなきゃいけないから……このまま、時間止まってほしい。いつまでも優心とこうしてたい」
不安なのか、抱きついてきてる手に力がこもってる。
……んで、こんな可愛いんだよ。
寝ぼけてんのも、最高すぎる。
どこまでも愛しいやつ……。
七聖
「……優心」
俺
「ん?」
七聖
「眠気覚ましにお風呂行ってくる」
……は?
ゆっくり起き上がった七聖。
いや、危なくねぇか?
俺
「今入ったら溺れるだろ」
七聖
「でも入りたい。ダメ?」
……しょうがねぇな。
俺
「じゃあ、俺も入る。一緒に入ろ」
ふらついてる七聖を抱き上げた。
七聖は数秒黙ると、
七聖
「は、はぁっ!?な、ななっ、なに言って、」
と、テンパった。
そろそろ限界だし、俺。
俺
「んで、ベッドで抱きたい。ダメ?」
洗面所の電気をつけた。
七聖を降ろすと、顔真っ赤にしてて。
七聖
「っ……い、いいの?優心、初めてが私になるんだよ?」
俺
「はぁ?七聖じゃないとダメだから。つか、七聖の初めてそろそろもらいたい」
七聖に羽織らせてたパーカーを脱がした。
俺
「七聖のこと好きすぎて……もう限界」
七聖
「っ優心……」
俺の服を掴んだ七聖。
耳まで真っ赤だし………。
七聖
「……私も優心のこと好き、だから……一緒に入りたい……」
っ……やばい、かなり心臓にくる。
七聖は恥ずかしいのか、中々脱ごうとしない。
うーん……やっぱ、抱いてから風呂の方がよかったのか?
なんもわかんないや。
俺
「……脱がそっか?俺が」
七聖
「っ!そ、それはちょっと……」
俺
「んまぁ後で脱がすんだけど。やっぱ怖い?相手が俺でも」
七聖
「怖くないけど、裸はさすがに見せたことないし……優心の裸とか、見たら死にそうだし」
そういや俺、上半身でも脱いだことないな。
………コンプレックスあるし。
でも……七聖なら、受け入れてくれそうな気がする。
俺は七聖に背中を向けて、上を脱いだ。
七聖
「っ優心……その、背中……」
俺
「……これ、真藤組の組長代々してる入墨」
七聖
「菊の入墨……」
俺の背中には、菊の入墨がある。
七聖は……怖がったりすんのかな。
七聖
「……綺麗だね」
その時、背中に温もりを感じた。
見ると、七聖が手を添えてて。
俺
「……怖くねぇの?」
七聖
「全然。そんなことで怖がらないよ」
俺
「今まで、その辺の女とかによく声とかかけられてたけど、どうも気乗りしなかった。どうせこの背中見たら逃げるんだろうなって」
俺顔良いし、海王の総長ってだけでそこらの女からモテるし。
俺
「だから、初めて好きになるなら俺のことを中身で見てくれる人がいいと思った」
七聖
「優心……菊って確か、真実のなんちゃらを意味するんだよね?忘れたけど」
そう。
俺も忘れたけど、菊の花言葉がそうなんだよ。
七聖
「私、優心が大好きだよ。この入墨も含めて優心の全部好き」
ギュッと背中に抱きついてきた七聖。
七聖の体温が直で伝わる。
あったか……。