翔悟
「そうだぞ!安静に」
ベッドから出ようとした七聖。
が、ふらついて倒れそうになった。
俺
「七聖っ」
七聖
「っ離して!帰る!ここにいたくないっ」
ドサッと強引に座らせた。
俺
「お前、自分の体調わかんねーのかよ!アホ!今は寝込んでろ!」
七聖
「やだっ……!私はっ、白狐を倒すの!天王の総長だからっ……もう、一度、みんなに、琥太郎に、お父さんに、認めてもらわなきゃなんないっ……!」
俺の服をぎゅぅっと掴んだ。
七聖
「海王にはっ、白狐に近づかせない……!私が白狐に近づかないと……」
は……?
俺
「おい、なに言ってんだよ!?」
七聖
「そのまんまっ……!」
意味わかんねぇ……。
俺
「俺は……七聖の全部、知りたい」
ぎゅっと掴まれてる手を優しく握った。
七聖
「っ、離して……」
俺
「なにも知らない……!なんで男装してまで海王に来たのかも、なんで俺らにすがったのかも、なにを守りたいのかもわかんねぇ!」
朝陽
「ちょ、優心。今七聖は体調が……」
七聖
「……ただ、あんたらを潰すためだよ」
え……?
七聖はそっと、立ち上がった。
七聖
「海王は敵でしかないの。私は無駄なケンカはしたくない。……できないんだよ」
無理だと気づいたのか、座った。
できないって………。
七聖
「海王と……やりたくない」
……まさか。
俺
「俺と……戦えないってことか?」
七聖
「っ……そんなわけっ、」
頭を押さえた七聖。
とにかく、休ませねーと……。
日向
「七聖、今は体調休めないと!」
樹
「そうだぞ!じゃねーと守りたいもの守れなくなるぞ」
七聖はそれでも、立ち上がろうとする。
手間のかかる奴だな……。
俺
「なーなせ。大人しくしねーとキスするよ。今度は深いやつ」
七聖
「っ……!?」
顔を真っ赤にした七聖。
急いで布団をかぶった。
よし、分かりやすい奴だ。
一同
「はっ……はぁぁぁぁぁぁあっ!?」
俺&七聖
「うるさ……」
そう言うと、翔悟に胸ぐらを掴まれた。
翔悟
「どどどっ、どういう事だ!ふたり付き合ってんのかよ!?おぉぉい!」
凪
「いつからだよ!さっきも裸見たとか言ってたし……!」
俺
「いや、バスタオル巻いただけの……」
朝陽
「同じでしょ!ありえな……」
日向&樹
「総長…………………」
俺
「そんな目で見るな!誤解だ!」
みんなして俺を淫乱男として見るな!
七聖
「ってか、うるさいよ……」
日向
「七聖、総長好きなのー?」
ピクっと反応した七聖。
ふいっと目をそらして、
七聖
「言ったじゃん。誰も好きにならない。私には決められた人がいる」
樹
「あれ……そのネックレス、総長の」
あ……。
七聖の首元を見ると、俺があげたネックレスがあった。
ちゃんとつけててくれたのか……。
七聖
「あ、これは、その……」
俺
「俺がやったんだよ。如月から奪うために」
樹
「確か、天王の副総長でしたっけ」
そんなことより……。
俺
「七聖……もう寝とけ。な」
七聖
「……お願いがあるの」
ぎゅっと俺の手を掴んだ七聖。
力ねぇじゃんこいつ……。
七聖
「天王のみんなにバレないように、私の今の家に送って……」
離れのことか?
俺
「いいけど……」
七聖
「ありがと……」
結局……教えてはくれないのか。
七聖の守りたいもの……なんだろうな。
教えてくれたら、いいのに………。
✹翔悟side✹
俺は今、何を見させられてるんだ……!?
この、優心と七聖から溢れ出るオーラ……。
俺だけじゃない、朝陽も凪も、肩を落としていた。
だって……。
七聖が、優心に頭を撫でられながら穏やかに眠っているから……。
さっきまで、張り詰めてたのに。
焦ったように、何かを守るように。
そんな七聖が、落ち着いて寝ている。
日向
「総長、本気で七聖が好きなんですね」
優心
「まぁ……最初から全部わかってたからな。七聖の正体」
ハハッと微笑んだ優心。
優心
「でも……やっぱり、七聖のことはわからないままなのかもな……」
樹
「……でも、七聖はわかりやすいですよ」
確かに……。
七聖は、好き嫌いハッキリしている。
朝陽
「七聖は、どうして俺らと白狐を近づけさせたくないんだろうね」
凪
「なぁ、一応天王の奴らに知らせとく?介抱してるって」
優心
「だから、七聖はバレたくないんだって」
優心は……最初から見破ってたんだ。
それを分かって、好きに……。
いつか、優心が言っていた。