優心
「えっ……」
そんな間抜けな声が聞こえてきた。
楽しい1日だったなぁ……。
優心
「よかったな、パフェ食べれて。七聖楽しみにしてたし」
ははっ、と窓の外を見ながら笑う優心。
私
「なんて……本当はパフェ口実に優心とただ遊園地に行きたかっただけだよ」
なんて言ったら……今、優心はどんな顔をしてるのかな?
私
「抗争控えてるし、学校も違うから家も遠いし倉庫で会ったとしてもみんないるし、ふたりの時間なんて作れないしさぁ……」
優心
「七聖……」
私
「優心とどこか遠くに行きたくて、素直に優心と行きたいなんて言えなかったからパフェ食べたいなんて口実つけちゃった。怒る?」
えへ、と優心を見上げたその瞬間。
私
「んっ……!?」
いつの間に隣に来たのか、キスをされた。
ゆ、油断してたっ……。
優心
「素直に俺とデートしたいってみんなの前で言えばよかったのに」
私
「だって、優心行きたそうじゃなかった」
優心
「……遊園地なんてガラじゃねーし」
ぶすっとした優心。
優心
「なぁ……ジンクスって信じる?」
ビクッ。
思わず肩を揺らした。
さっき、照れ隠しでパフェ食べたけど……。
私
「……信じない」
優心
「……そ」
私
「って、前の私なら言ってた」
前の……優心に出会う前の私は、こんなオシャレなんてしない。
だけど今は、
私
「優心と出会ってからは………なんか、頭の中が乙女になるとゆーか……っどうしても、お花畑になるってゆーか……」
優心
「……ぶはっ!なんだよそれ」
笑うなこのバカ総長が!
私
「だ、だからそのっ……信じるよ。絶対、叶うと思うから……っ」
優心が私の頬を片手で摘んだ。
腹立つくらい余裕な顔……だけど、やっぱカッコよくて。
優心
「じゃあ、誓いあってみようぜ!」
私
「なにその今からゲームしようぜみたいな」
優心
「いーから!ほら、右手出せよ」
言われた通り右手を出した私。
真紅の箱の中から、ピンクゴールドの指輪を出した優心。
優心が私の手を支えて、薬指に通した。
っ……。
優心
「俺はこの先ずっと、何があっても七聖を手放したりなんかしない。ずっと、そばにいる」
あぁもう……涙出てきそうだ。
優心
「ほら、七聖も」
私
「……うん」
箱から残りのシルバーの指輪を出して、優心の右手薬指に通した。
えっと、えっと……。
私
「びゃ、白狐が優心のこと倒そうとしても、優心のことは私が守るっ!あと、ずっとずっと大好きっ」
チラっと優心を見ると、少し顔が赤かった。
………照れてるのかな?
優心
「守る、か……心強いかも」
ギュッと抱き締めてきた優心。
それだけで、胸が高鳴った。
私
「っ……かもってなに!私これでもケンカ強いんだからね!」
優心
「ハイハイ、わかったわかった」
私の頭を撫でてきた。
うっ……恥ずかしい。
なんて思ってると、優心が私の耳元に唇を寄せてきて。
優心
「……今日、めちゃくちゃ可愛い」
なんて囁いた。
………………え。
今、なんて……?
今日、めちゃくちゃ………か、可愛いっ!?
私
「っっっ……!ゆ、優心っ」
優心
「あー!俺は何も言ってねぇからな!」
なんだよ、それ!
それ言ったら……。
私
「ゆ、優心に可愛いって言われたかったんだから当たり前だバーカ!」
優心
「っ……アホ」
そんなこと言われたら、嫌でも赤くなるじゃんかぁ……っ。
アホなのは、優心だ………。
✤琥太郎side✤
優心
「お前らー!たっだいまー!」
夕方、七聖の手を引いて倉庫に来た優心。
日向
「お帰りなさいっす!デートどうでした!?」
七聖
「うっ……そんなこと聞かな、」
優心
「んなの、俺と七聖の秘密だし」
なんだ?
やけにラブラブ感が出てるな……。
俺
「あぁ、そうだ優心と七聖、」
翔悟
「おいお前!優心!ズリーぞ!」
俺に被せて言った翔悟。
コイツ……。
蓮
「そーだぞ!俺七聖のことまだ好きなのに!」
大和
「つか、優心は抜け駆けしすぎだ!」
凪
「偶然ただ部屋が一緒になっただけのくせに」
蒼馬
「ほんと、どんな汚い手使ったのさ」
朝陽
「心底ムカつくよね」
いや、コイツらディスりすぎだろ。
いくら七聖奪われたからって……。
優心
「んだとぉっ……!」
七聖
「う、まぁまぁっ!私もみんなのこと大好きだけど、ごめんね。私が彼氏になってほしい人は、優心だけなんだ……」
七聖は、優心に出会ってから本当変わった。
今だって、普段巻き髪なんてしないくせにめちゃくちゃ可愛くしてるし。
樹
「ま、七聖見てたら丸わかりだけどね。総長の見る視線がハートMAXだから〜」
七聖
「なっ、バカ言うな樹!」
優心
「え、お前俺が気づいてないと思ってんの?バカだなぁ〜」
七聖
「はぁっ!?バカは優心だ!今だって、全然手を離してくれないし!」
優心
「あぁ!?こんな大勢男がいんのに手を離せって言うのかよ!?」
始まったよ、ふたりの口論……。
つか、
俺
「いい加減人の話聞けよ……」