世界No.1暴走族・天海朧月 下

✿七聖side✿

そしてデート当日!

舞衣
「うん!これでよしね!」


「ま、舞衣さんっ!本当に大丈夫ですか?こんな女の子ぽくて……」

今の私は、キュロットに可愛らしい黒のトップスを身につけていて。

髪型だって、いつもはしないウェーブ巻きに赤のカチューシャ。

に、似合わない……。

舞衣
「本当はメイクもしたいけど……」


「さ、さすがに優心に引かれます!」

舞衣
「あらそう?それじゃあデート頑張って!」

うぅ、恥ずかしい……。
舞衣さんに背中を押され家を出る私。

確か、待ち合わせはここの近くのコンビニだったよね。

そう歩こうとした時。

優心
「おい!彼氏を素通りすんな!」

声が聞こえて振り向くと、私の家の前に優心がいた。

えっ。


「優心!なんで……」

優心
「なんか心配だから待ってたんだよ!普通後ろ見るだろ!」


「見ないし!でも……ありがと」

チラッと優心を見ると、優心は私の服装を見て固まった。

………?
優心
「なっ……な、七聖お前……っ」

な、なんか優心が挙動不審!?

優心
「っ……なんでそんな足出してんだ!」

ガーンっ……!

やっぱ、そう言われる!?


「うっ、私だって似合わないのくらいわかってるし!わかってるけど、舞衣さんがっ」

優心
「ばっ、似合わないなんて言ってねえ!」

え?違うの?

優心
「だからそのっ……なんつーか……あー!!もう行くぞ!」

私の手をギュッと握って、歩き出した優心。

可愛いって……言われたかったなぁ。
電車乗ると、混んでるのか人が多かった。

優心
「七聖、こっち」


「あ、ありがとっ」

私を壁の方に連れてくれた優心。

優心
「にしても、なんでこんな混んでんだよ……」


「さぁ……みんな遊園地行くのかな?」

そんなこんなで駅を降りて、遊園地に着いた。

……が。

優心
「なんか、カップル多すぎだろ……」

周りを見ると、カップルだらけで。

「え!ねぇ!あの人、海王の総長じゃない?」
「本当だ!隣にいるの、彼女かな?」

「おいおい知らねーの?海王の総長と天王の元総長付き合ってるんだって」

「今は天海朧月って暴走族なんだよな」

なんて声が聞こえてきた。

うぅ、やっぱ優心モテるんだ……。


「優心!早く行こ!」

優心
「分かったって!遊園地は逃げたりしねーんだから慌てんな!」

優心の手を引っ張って、遊園地に入った。

なんか、モヤモヤする……せっかくの優心とのデートなのに。

優心
「で、どれから乗んの?」


「やっぱ全部回りたいよね!でもまずは……あれにしよーよ!」
私がビシっ!と指さしたのは、ジェットコースターだった。

王道かな?

でも、王道が楽しいとか言うし!

優心
「た、高くね?」

……おや?


「優心、まさか怖いの?」

優心
「なっ、んなわけねぇだろ!?ほら行くぞ!」

いや、声震えちゃってるよ。

優心に手を握られ歩きながらも、


「怖いなら無理しなくていいよ?」

優心
「う、うっせぇ!無理してない!!」


「またまたぁ、強がっちゃって」
優心
「お前、マジぶっ潰すぞ!チビ!」


「はぁっ!?チビ言うなチンチクリン!」

と、口喧嘩する私たち。

もう!せっかくデートしてんのに!

って、煽った私も私か……。

ジェットコースターに乗ってベルトを閉めて優心を見てみた。

やばい、目が死んでるよ優心!

……写メ撮っちゃだめかな?


「……ぶフッ」

優心
「おい笑うな」


「わ、笑ってな……あひゃひゃっ」

優心
「七聖マジムカつく笑い方すんな!!」
あ!動き出した!


「ねぇ優心〜、ほらほら、登ってるよ〜!」

優心
「てっめぇ……っ、降りたら地獄見せてやる」

頂上へ登った、次の瞬間。

物凄いスピードで急降下していく。

「キャアァァァァァァアっ!」

「わぁぁぁぁぁぁあっ!!」

色んな人の叫び声を聞きながら、風の音が通り過ぎてく。

やばい!景色すごいぃぃい!


「アッハッハッハッハッ!ねぇ優心!!面白いね!ね!」

優心
「なんっも面白くね〜〜〜っ!!!!」

それからも叫び続け………。
優心
「はぁ……はぁ……っはぁ……」

ジェットコースターを降りた優心は、今にも倒れそう。

なんかここまで来ると可哀想だな……。


「優心……大丈夫?」

優心
「ふ、っざけんなよ七聖!七聖のせいでこんな恐ろしい思いを!」

あ、騒ぐ元気はあるんだね。


「しょうがないなぁ。じゃあちょっと休む?」

優心
「いや、次はあれだ!コーヒーカップ!!」

バンッ!と指さした優心。

へえ〜、コーヒーカップ!

確かゆらゆら揺れて楽しむやつだよね!