前回ので、少しトラウマになってる七聖。
兄さんも……だよな。
結局、なにもわかってないけど。
優心
「んな心配すんな。俺が守ってやっから!」
ポンッと頭に手を置いた優心。
七聖は我に返ったのか、安心したように肩を降ろした。
こんないろんな七聖は、見たこと無かった。
……優心に感謝だな。
蒼馬
「次七聖が人質にされたら、かなりやばいね」
蓮
「だ、だよな……」
大和
「今度七聖になにかあったら……」
……考えるだけでも嫌だ。
もう、大切な人は失いたくない。
朝陽
「そんなわからない未来とか考えないでよ」
翔悟
「そうだぞ!俺ら天海朧月は最強族が合わさった最強族なんだからな!」
凪
「負けることはないっしょ」
こういうとき、海王の奴らには助けられる。
……いや、仲間だな。
天海朧月という、最強の。
七聖
「………」
俯いて、眉を下げてる七聖。
やっぱり……まだ、無理があるよな。
姫にさせてよかったよ、ホント。
優心
「あー、アイス足りねぇ!七聖、さらにアイス買いに行くぞ!」
ひょいっと七聖を抱き上げた優心。
七聖
「っ!?ちょ、優心!?」
優心
「しょうがねーから奢ってやるよ!ほら、ダッシュで行くぞ!」
七聖
「や、やだっ!ダッシュは怖いって!降ろせバカ野郎!」
と、ギャーギャー騒ぎながら出てった。
七聖の不安を拭えるのは、アイツだけだ。
こういうとき、七聖を助けれるのは七聖が心を許してる奴だけ。
別に俺らにもなんだろうけど……優心は、七聖にとって特別だから。
お互い、必要不可欠だろ。
だからこそ……これからのことに緊張する。
白狐を倒せるか、兄さんの真相を掴めるか。
……七聖の隣に、あいつがいてくれるか。
✿七聖side✿
なんだかんだで離れに愛着を持った私。
夏休みに入った今、心は落ち着かない。
大体夏休みに抗争をする族が多いんだよね。
この暑さに、ストレス発散もできるから。
そんな中、このどうしようもない緊張を落ち着かせるために私はネイルをしてた。
この匂い、落ち着くし……。
もし、また人質にされたら……。
今度こそ、生きて帰れないかも。
相手は、お兄ちゃんを殺した族。
なにされるか、わかんない………。
優心
「なぁ、爪でこぼこしちゃってるけど」
優心の声で我に返ると、いつの間にか爪と爪がくっついていた。
私
「うわっ、ホントだ!」
除光液で落とした私。
てゆーか……。
私
「なんでいんの!?」
優心
「はぁ?この前玄関で合鍵見つけたから勝手に取ったんだよ!」
いや、犯罪だからねそれ!?
優心は彼氏だからいいものの……。
優心
「……なぁそれやりたい」
マニキュアを指さした優心。
これ?
私
「あぁ、優心の爪に塗ってあげよっか?」
優心
「ちげーよ!俺が七聖の爪に塗ってあげたいんだって!」
あ、そういうこと?
私
「じゃあお願い。右手やりづらくて」
はい、とマニキュアを渡した。
優心は私の右手を支えると、親指から塗っていった。
なんか……変なの。
私
「優心って、器用なんだ」
優心
「お前は不器用だけどな。守りたいものの守り方とか特に」
う……これは、根に持ってるな。
私
「……優心」
優心
「なんだよ」
あの日以来言ってないから……言おう。
私
「……好きだよ」
優心
「っ……!?おまっ、動揺させんな!」
おぉ、照れてる照れてる!
最近、優心は照れ屋だと気づいた。
私と同じ、うぶな反応がまた可愛い。
私
「ねぇ、なんで急に来たの?」
優心
「彼氏が会いたいと思って来ちゃダメか?」
私
「会いたくて来たの?」
優心
「まぁそんなとこ」
ふぅーん……。
優心
「ニヤニヤすんな」
私
「顔赤くするな」
優心
「してねーし」
私
「してるわアホ」
私たちって、なんでこんな言い合いになるんだろうか……。
私
「カップルって、もっとイチャコラすんじゃないの?」
優心
「それを俺に聞くのかよ……」
私
「え、彼氏じゃん?優心」
優心
「……じゃあなに、キスとかする?その先とかも?」
キスのその先……。
っ!?
優心
「ほら、墓穴掘ってんじゃねーぞ」
私
「………」
な、なにも言い返せない……悔しい!
私
「ねぇ優心……」
優心
「今度はなに?」
私
「白狐……そういえば、柊しか見てない」
ピタッと動きを止めた優心。
やっぱ、優心も気づいてたんだ。
優心
「……アイツは、まだ真当勝負する気じゃないんだろ」
真当勝負か……。
私
「……死なないで」