✤琥太郎side✤
七聖
「大和、ここ最近やたらと絡んできてる族とかはないよね?」
大和
「え?お、おん……」
七聖
「なにかあったらすぐに言って。蓮も不要なケンカはよしてね」
蓮
「お、おう……!」
あれから1ヶ月。
七聖は、人が変わったかのように別人になってしまった。
あれだけ明るくて元気だったのに、今は笑顔すら見せない。
常に忙しくて、離れでだってちゃんと食事してんのか気になる。
俺
「おい、七聖おかしくねーか……」
蒼馬にボソッと呟いた。
蒼馬
「そりゃ全員から批判されたんだ。そうなるだろ。お前も弟なのになんで味方しないの」
チッ……。
大和
「でもよ〜、海王は七聖を諦めてないぜ」
七聖が下っ端のとこに行ってるため、俺らのとこに来た蓮と大和。
蓮
「あれから表情も堅いし、隙を見せないね」
………。
副総長なんかひとりでいいから、俺が総長になるのに。
なんで、無理をしたがる?
七聖は、なにを考えてんだろ。
双子なのに、わからないなんて……。
七聖
「いいかお前たち!私らが目指すのは海王じゃなくて白狐!そこを忘れずに!返事!!」
「「はいっ!総長!!」」
やっぱ……無理させてるか?
父さんと母さんは七聖に会ってないからわかんねーし。
七聖を無理させたいわけじゃない。
ただ……笑って欲しい。
なんて、自分勝手だよな……。
✿七聖side✿
あの日から、1ヶ月。
私はスマホも変えて、心機一転としていた。
古いスマホは、まだ使えるけど………。
もう、個人的に海王に会っちゃダメだ。
向こうは、敵なんだから。
それに……会ったら、恋しくなる。
それじゃあ守る意味もなくなるから……。
これは直感だけど、お兄ちゃんの死の真相は白狐にあると思うんだ。
ちょうど白狐がNo.1になったのも、お兄ちゃんが死んでから。
それに……海王は、人を殺めたりしない。
先代のことは分かんないけど、言い切れる。
あれからずっとずーっと忙しいスケジュールを組んだのはいいけど……。
私
「一人暮らしだもんなぁ……退屈ー」
家にいると、やっぱ自由な時間ができちゃう。
私
「はっ……くしゅん!」
久しぶりにくしゃみしたな……。
春は終わったけど、今頃花粉症かな?
私
「くしゅんっ……うぅ、寒っ……」
さっきお風呂で冷えたのか?
とりあえず、もう寝とこうかな……。
次の日、私は倉庫に来てた。
私
「じゃあちょっと街に行ってくるよ」
大和
「七聖、海王も今日パトロールで街に出るってよ〜」
……へぇ、海王も。
なら、会わないようにしなきゃ。
私
「わかった。会ってケンカになんないように気をつけるよ。行ってきます」
「総長、いってらっしゃい!」
「気をつけてくださいっす!」
倉庫を出て、歩いた。
やば……なんか、頭重い……。
いや、気のせいだよね。うん。
街に出ると、たくさんの人がいた。
たまに路地裏とかでケンカがあるから、それを確かめないと。
もししてたら、止めないといけない。
それが私総長の役目。
もう夏なのに、なんでこんな寒いんだ?
まさか……風邪?