その日から、彼は時々、わたしの前に現れる様になっていた。


その度に冷えている指で、わたしの指に触れていた。


わたしの、何故だか、悴んでいる指に。


彼の指が、わたしの指に触れる時は、いつだって。

決まって、わたしの指が悴んでいる時だと。


彼が、いつか言っていたのを、現在(いま)でも覚えている。