彼は、困った様に眉を下げて、薄いだけの笑みを浮かべる。


「……うん」


結局、彼は、わたしの指から離れようとはしなかった。


そして、わたしも、彼の指を離そうとはしなかった。


……彼の指から離れようとはしなかった。