娼館に、なにしに行くんだとジンに問われたアローナは言う。

「助けられたお礼がしたいのです」

「売り飛ばされた報復じゃないのか」

「いや、美味しかったので、粥」
とアローナが言うと、ジンは一瞬、考えたあとで、

「……わかった。
 必ず誰か連れて行けよ」
と言ってくれた。

「大丈夫です。
 アハト様がついてきてくださるそうです」
とアローナが背後に控えていたアハトを手で示すと、ジンが驚愕する。

「もうアハトを配下に置いているのかっ」

 いや、配下になど置いていませんけどね、とアローナは思っていたのだが。

 後ろからアハトが、
「まっこと恐ろしいお妃様でございます。
 わたくし、すでに言いように使われております」
とジンに向かい、訴えていた。