あそことは何処なのかとアハトに問われ、アローナは言った。

「アハト様がよくいらっしゃっている娼館です」

「……アローナ様。
 私は別によくは行っていません。

 貴女を買ってきたときのように、政敵や権力者への貢ぎ物を見繕(みつくろ)いに行っているだけです。

 そもそも、うちは嫁が強くて。
 女はひとりで持て余しております」

 そうアハトは言う。

「僧侶なのに、奥さんがいらっしゃるんですか?」

「私は僧侶ではありません。
 それっぽい格好をしているだけです。

 なんというか。
 犯しがたい雰囲気が出るではないですか」

 ……なるほど、とアローナは頷いた。