ともかく、誰か頼りになるお供のものを見つけてください、とフェルナンに言われたアローナは、城の中をうろうろしていた。
広い宮殿の廊下で アローナを見た瞬間に何故かビクつくアハトに出会った。
「アハト様、お暇ですか?」
「……暇ではありませんが。
仕事中なので」
どうされましたか、と訊かれ、アローナは迷う。
……お供のものを探しています、とこの偉そうな人に言うのはどうだろうかな。
一応、こちらが立場は上のはずなのだが、なんとなく怒られそうだ、と思い、
「いえ、なんでもありません」
と言って、アローナは立ち去ろうとした。
鷹でも連れていこうかな。
いつもの鷹はいないだろうから、その辺旋回してるのを捕まえて、と思ったとき、
「私がついて行こうか、アローナ。
供の者を探しているのであろう」
と声がした。
振り返ると、フェルナンを従えたジンがいた。
フェルナンはジンの後ろで溜息をついている。
すべて白状させられたようだった。
「いや、それはちょっと」
意味がわからないので、とアローナは断った。
ジンとのことを相談しに行こうと思っているのに、ジンを連れて行くのはちょっと意味がわからないからだ。
そそくさとジンの許を逃げ出したとき、
「仕方ないですな」
と背後で声がした。