「ああ、あのお二人のことなら、きっと大丈夫ですよ。
 今日も私が王より後にアローナ様の寝所から出てきただけで、打ち首にされそうな雰囲気で。

 王は、かなりアローナ様にご執心のようですからね。
 アローナ様も実のところ満更でもないご様子」
と言うと、ほう、そうなのか? とフェルナンは身を乗り出す。

「そもそも、アローナ様の性格からして、ほんとうに嫌だったら、鷹に乗ってでも逃げ出してますよ。
 ジン様は前王と違って、それでアッサンドラに報復に出るとかやりそうにないですからね」

 そう言いながら、シャナは天高く舞う鷹の足にぶら下がり、去っていくアローナを思い浮かべた。

 まあ、鷹がアローナの体重を支えられるわけもないのだが。
 なにかそんな突飛なことをやり出しそうな雰囲気がアローナにはあった。

 ああ見えてジンは生真面目だ。

 奇想天外な作戦やアイディアなど、自由な発想が彼には足りない気がする。

 アローナ様は、そこを補う、良い妃になりそうだ、とシャナは勝手に思った。