「ああ、前王ですか。
 まだ生かしてたんですね」
と言われ、

 いや、特に殺すつもりはないんだが……、と思いながら、

「アッサンドラのアローナ姫は、もともと私への貢ぎ物のはずだが、と父が言ってきたんだ」
と言い、ジンは眉をひそめた。

 すると、すぐにシャナは、
「わかりました。
 殺してまいります」
と言う。

 いや、待て待て待て。

「そうではない。
 どういうつもりで言っているのか調べてきてはくれないか」

「どういうつもりって、妾のひとりにするおつもりでしょう」

「だが、離宮には、すでにたくさんの美女がいるようだ。
 アローナなんぞ、いらないだろう」

 国に帰らせたり、よそに嫁ぎたいというものは嫁がせたりして、厄介な後宮の女たちはすべて、いなくなったはずなのに。

 また懲りずに何処からか、かき集めてきているようだった。

「最愛の妻なのに、評価低いですね~。
 あれで、アローナ様は、なかなか、わりと。

 ま、そこそこ、いい女ではないかと思うのですが」

 ……お前の方が評価低いぞ。