微かな隙間から中の様子が微妙に伺えた。


当たり前だけど、極道は男たちの集い。

そしてこういう場には、たとえ上層部の妻や屋敷の使用人だとしても女は入ってはいけないらしい。


だからこそ男ばかりだということは重々承知なわけなのだけど…。



「だって、那岐よりずっとずっと年上の人ばっかり…」


「当たり前だ。上層部だけだからな。ここに居る若いのっつったら、他は付き人くらいだ」



袴を着る者、着流し姿の者、スーツ姿の者、様々だった。

しかしどれも年配の男という印象が強くて、男の中では那岐がいちばん年少者のように思う。

俊吾だって那岐の付き人だけど、彼より年上なのは確かだ。


足がすくむ。

震える、ゴクリと唾を飲み込むことさえ一苦労。



「忙しいところ集まってもらって感謝する」



ポンッと私の背中を叩くように、那岐は先に襖の中へ入った。



「知ってるだろうが、組長の孫でありおやっさんの娘が今日から天鬼組の仲間入りとなった。
───てめえの命に代えても守れ」



最後、低く放たれた言葉に男たちはどんな反応を見せたのだろう。

呆然と立っていると、くいっと視線で招かれる。

誘き寄せられるまま、慣れない足取りで男たちの前へ。


わ……すっごい大きな広間…。



「可愛らしい娘じゃないか」


「本当だ、お頭に似てるな」


「あぁ。だが美鶴さんの面影もある」