「で、結局なんなのさ」
「進路希望調査書……、明日までに提出しろって言われてて、」
こんなペラッペラな紙に自分の人生の行く末を決められてしまうなんて、なんか嫌だ。
だとしても高校2年生の冬休みは目の前。
さすがに進路とか出てくるわけで…。
「ふーん?」
「あー、だめだっ!とりあえずリフレッシュしなきゃ!私お風呂入ってくる!」
「行ってらっしゃーい」
今日も那岐はここにいない。
あのあとそのまま入院しちゃったし、いろいろあってお見舞いも中々行けなくて。
そしたら若頭になって戻ってくるし、ゆっくりお話することもできてない。
それに完成したブレスレットも渡せれてないし…。
「絃ちゃん、大事なもの忘れてる」
そんな翌日、車から出ようとすれば運転席の陽太からヒラヒラと封筒が1枚渡された。
「あっ!進路希望っ!ありがと陽太!」
「俺が代わりに書いておいてあげたからそのまま出せばいいよ」
「…え。」
書いておいてあげたって、なに……。
そういえば昨日はあのあと、お風呂から上がって疲れて寝ちゃったんだっけ。
また先生に怒られる…なんて思っていたのに、そいつはそんなことを言うから。
「じゃーね、今日も気張ってこーい」
「あっ、ちょっ!」
そのまま車は発進してしまった。
あれかな、適当に書いておいてくれたってことなのかな。
まだ私は就職も進学かも決めてないけど…。