私はお店の裏口から入って、

「お父さん、ただいま。今日は何を作ってるの?私と陽人の分少し分けて」

お父さんが返事をする代わりに

「あら結月、珍しいわね。何かあったの?あなたがお店に来るときは必ず何かあった時だから」

お母さんは鋭い。私のことはなんでも分かってくれる。

でも心配は掛けたくないからね。

「何もないよ。クラスマッチの練習で疲れちゃってさ。ご飯作るの面倒になっちゃっただけ」

練習なんて一つもしてないけど。

「そう、ならいいけど。何かあったらすぐに教えてね」

「うん、ありがとう、お母さん」

もっと話したいけど仕込みで忙しそうにしている二人に申し訳ないから、お父さんの作ったお総菜をもらって、私は家に帰った。