「あの!待って!これ・・・」 私はカバンに残っていたもう一つのミカンを出して、その人に差し出した。 「励ましてくれて、ありがとうございました。受験頑張ります」 あの時の励ましをもらって、第一志望の高校に合格できたんだと、私は今でも信じていて。 その人に合格したことを報告したいけど、名前も、学校も、何も知らない高校生に会えることなんて、あるわけがなかった。