「あの、私は≪おまえ≫じゃなくて、立花結月です」

「うん、知ってるよ。もう覚えたし。じゃ、気を付けて帰れよ、立花結月」

そう言って高槻先輩は私の頭をポンポンと優しく触って、バスケットコートへ歩いて行ってしまった。

騒ぎを聞いた陽人と友哉くんがバレー部のコートから駆けてきてくれて。

二人がこちらに来る途中、バスケットコートに戻る高槻先輩とすれ違い、言葉は交わさないものの、陽人は高槻先輩に軽く会釈をし、友哉くんは何故か高槻先輩に敵意の目を向けていた。