仲良くじゃれ合っているような私たちを、男子バレー部を応援していた女の子たちが睨んでいるのに気付いて。
怖っっ!と顔を引きつらせていると、今度は陽人までもがここに来て
「友哉、もう練習再開するから行くぞ」
陽人はそう不機嫌そうに言って友哉くんの腕を引っ張り、コートに戻ろうとした。
「分かったよ。じゃあ結月さん、また来てね。絶対ね!」
そう言って二人がコートに戻ろうとしたときに陽人だけが戻ってきて、私に耳打ちをしてきた。
「友哉が誤解するからもう来るな」
そう言い残して陽人も戻っていった。
なによ、もう!ただ練習を見に来ただけなのに。
帰ったら陽人に文句言ってやる。
そんな私たちのやり取りを見て
「「あの人、友哉くんにも陽人くんにも馴れ馴れしくない?」」
なんて言われているなんて気付きもしなくて。
コートに戻った友哉くんがこっちを見て手を振ってきたから、つい私も小さく手を振り返した。
この全てのことをずっと見ていた人がいるなんて、その時は知らなかった。