すると未菜は
「栞は残念だったね。それよりチョコレートをそのおじさんにあげたの?昨日の男前のセリフはどこへ行った??もしかして、そのおじさんってイケメンだったとか?一目惚れとか??」
「いやだなぁ、本当にお礼のつもりで渡したんだよ。名前だって知らないし、顔もよく見えなかったもん。でも優しい人だったよ」
私たちが昨日の出来事について話しながら歩いている横を、足早に通り過ぎた同じ学校の男の人。
私たちを追い越して数歩進んだところで急に振り向いて私をじっと見つめてきた。
「・・・立花結月」
突然その人が私の名前を呼んだ。
私はあまりにも突然のことだったので、声が出なくてその人から目が離せずに固まった。