駅から学校までの道は同じ高校の生徒しかほとんど使わない道で、この時間は生徒たちがぞろぞろと学校へと歩いている。

「昨日の結月、クラスの男子に面白いこと言ってたよね。

『バレンタインは本命の人にしかあげないことにしてるの。義理はあげない』

ってさぁ、どこの男前のセリフかと思ったよ~」

そう私の真似をしてケラケラ笑う未菜。

「あ、あれは本当にそう思ってるんだって。やっぱりバレンタインには好きな人だけにあげたいじゃん」

「うん、その気持ち分かるよ。私も結月への友チョコと本命チョコだけしかあげなかったもん。ね、結月。それよりさっき駅前で何してたの?怪しかったよ。しかもその膝の大きな絆創膏。昨日何かあった?!」

私は未菜に、昨日の転んでしまったところから話をした。

工事のおじさんに助けてもらって、チョコレートをお礼に渡したこと。

そして大切にしていた栞をなくしてしまって朝から探していたこと。