私は少しの躊躇いがあるものの、決心して403号室の前まで来た。
病室のドアは開いていて、その部屋にはベッドが4床あり、入り口のネームプレートから翔のお母さんは窓側のベッドであることが分かる。
そっと覗くと、翔のお母さんらしいその人は色白で華奢な身体だった。
顔は翔に少し似てるのかな?ドアの前からだと良く分からないや。
でも、上半身を起こして隣のベッドの人とおしゃべりをしている。
元気そうに見えたから少し安心した。
と、お母さんと目が合って。私は目を逸らすことができなかった。
うっ。ど、どうしよう。
私のことをじっと見つめるお母さん。するとニッコリと微笑んで、
「入っていらっしゃい」
と、手招きしてくれた。
私は意を決してお母さんのベッドサイドまで近づいた。