翔のこと、岡崎先輩のこと、翔のお母さんのこと・・・

そして、私と翔のこと。

色々なことを考えて眠れない夜を過ごした。


朝になり、私は覚悟を決めてタクシーで病院へ向かう。

今日は正面玄関が開いていたので、私は総合窓口で翔のお母さんの病室を訪ねた。

でも、お母さんの下の名前を知らない。

なんて説明すれば分かってもらえるかな。

「あの、入院患者さんのお見舞いに来たんですけど、病室を教えていただけませんか?」

「どなたのお見舞いですか?」

そうだよね、そう聞かれるのは分かってるんだけどさ。

「えーっと、高槻さんです。ごめんなさい、下の名前は分かりません。友人のお母さんで、数か月前からこちらにいらっしゃると伺ったんですけど。自宅は他県で。私、午前中に帰らないといけなくて。今日どうしても会いたいんです」

「あー、高槻さんね、高槻ゆり子さんなら東棟の403号室よ。東棟へは右手にあるエレベーターで上がってください」

「ありがとうございます」