「翔、あのね、あの・・・言いづらいんだけど」
「大丈夫。不安なんでしょ。俺、結月が大丈夫になるまで待つって言ったでしょ」
「そうじゃなくって。あのね・・・。私たちまだ高校生でしょ?もし赤ちゃんができたら、まだちゃんと育てられる自信がないの」
「うん」
「もちろん、将来は翔との赤ちゃんが欲しいよ」
「うん」
「だから、もし、ね、翔がその・・・」
「なに、その心配してたの?そっち?!」
「だって、とても大切なことでしょ」
翔は持ってきていたカバンの中から、それを出した。
「結月、そんなのは当たり前だよ。俺は結月が大切なんだから」
「それ、他の誰かに・・・使っ」
『バカ結月!!』
「俺だってさ、かっこつけたいじゃん。結月より年上だし、もっと大人の雰囲気出したりとか見栄張りたいんだよ。それなのに、なんだよ」
「ご、ごめん」
「結月を前にすると全然余裕無くなんだよ。あー、もう。これ、使ったことないよ。俺だってすっげー緊張してんの。少しは分かってよ」
翔の一生懸命話してくれる一言一言に感激して、私は静かに涙を流した。
そして翔は優しく私の頭を撫でてくれた。
「結月、焦らず、ゆっくり一緒に成長していこう」