すっかり帰宅時間が遅くなってしまい、すでに陽人は家にいてくつろいでいた。
「ただいま~」
「姉ちゃん、遅くね?何してたの・・・!?ってどうしたその足!」
「駅前で派手に転んじゃったのー。はるとぉ、痛いよぉ」
今になって痛さで涙が滲んできた。
「とりあえず、風呂で足を洗って来いよ。それから消毒な」
「うん。お風呂行ってくる」
陽人は生意気だけど姉には優しい。一歳下だけど頼れる弟なんだよね。
お風呂で足を洗っていると、陽人が脱衣場から声を掛けてきた。
「姉ちゃん、本当に転んだだけなの?帰りも遅かったし何かあった?」
「ううん、何もないよ。心配してくれてるの?本当に転んだだけだよ」
「そっか、ならいいんだけど」
陽人は少しシスコン気味なのかもしれない。
姉を大切に思ってくれているのは嬉しいけど。