パトリック・マネラン「そうか、朝日英雄は格闘技と炎の能力を開花させたか。チシュウめ。
あの時、息の根をしっかり止めておけばよかった。間一髪のところでマルタスが邪魔をさえし
なければうまくいっていたのに。雨を降らせる石も奪われてしまったしな。」

チョウヌンヌン「マネラン様、このまま順調にトップ・オブ・ザ・アースの大会が進むと、
2日後にあの私が敗れた好田大血と朝日英雄が激突することになります。」

パトリック・マネラン「同士討ちしてくれたら助かるがな。朝日英雄はまだまだだが、好田大血
はこの私でも手ごわい相手だからな。部下ではあるがいまいち信用できないところがあるからな。
とにかく、2日後の戦いが楽しみだよ。」

パトリック・マネランは黄緑に統一された部屋で、モニターを見ていた。そこに映っていたのは
トップ・オブ・ザ・アースの大会の戦いの模様だった。

トモアロウを手に入れたチシュウたちはすぐにまたトップ・オブ・ザ・アース大会会場の闘技場
へと戻ってきた。

「朝日英雄」VS「ハリーケイン」トップ・オブ・ザ・アース 2日目 2回戦

英雄の次の相手はハリーケインという男だった。審判「では、試合開始!ピーーー!」
英雄はいきなり突っ走り、ハリーケインに炎の拳をお見舞いしようとした。様子なんて見なくて
も余裕という英雄の慢心だった。しかし、炎の拳は軽々かわされ、ロカロの様子がいきなりおか
しくなった。ロカロ「もう、戦いたくない。戦いたくない。僕は棄権する。一人で戦ってくれ。」
英雄は驚きのあまり、ロカロを一発ビンタした。すると、ロカロは一瞬、キレた表情を見せ、
なんと英雄に襲いかかってきた。ロカロは最大出力、10万度の超高温の炎の滝を英雄に思い
きりぶつけようとした。英雄「まてまてまてまて、ロカロ。気でも狂ったか?」
「ドカーーーーン。」英雄は炎による耐性ができているとはいえ、大ダメージを食らった。
超高温の炎が皮膚を焦がしたが、トレーニングしてきた防御術である「水の壁」により、炎は
すぐに消火された。そう、英雄は水の能力を使えるようになっていた。それは、チシュウから
もらった「水の石」と呼ばれるこの世に3つある「水属性の古代道具」であった。「お前、
ロカロになんかしたな?」ハリーケイン「ただの仲間割れだろう。人のせいにするな。」
英雄はハリーケインが何かロカロにしたのかと思い、ハリーケインをとにかく倒すしか道はない
かと思い、ハリーケインに修行してきた剣術である「超雨虹戦法」で、エクスカリバーと呼ばれ
る光剣という切り札を出した。「超雨虹戦法」と呼ばれる世界トップレベルの有名な剣術を
免許皆伝のチシュウの上司、地球プロジェクト理事長、
ジュリーから習っていた英雄は「1か月訓練」と呼ばれる過酷な剣術の超基本を習うトレーニング
を終わらせてこの大会に挑んだのだ。エクスカリバーは朝日英雄の朝日家に古代から伝わる家宝
だ。エクスカリバーでハリーケインを倒そうと向かっていくと、ロカロが思い切りハリーケイン
を守ろうと炎の盾をくりだした。ロカロ「英雄、ダメだ。棄権しろ。人を傷つけてはいけない。
」英雄「ロカロ、どうしちゃったんだよ?今まで生まれてからずっと一緒だったのにそんな奴の
味方になって。オレとの絆はどこいっちゃったんだよ?オレとの約束は?うん?あれ?」英雄は
ロカロの目の色に違和感を覚えた。色が黒いはずなのに白い。なんで白いんだ?英雄「なるほど
、そういうことか。」英雄はエクスカリバーの攻撃を止めた。そして、いきなり床を大きく
エクスカリバーで傷つけた。十字型に大きく傷を入れると、ロカロが目を覚ました。ロカロ「
あれっ?ぼく?今、なにしていたんだろ?英雄、ぼく、どうしちゃったのかな?」英雄「大丈夫
だ。そいつの催眠術にかかっていただけだ。床に催眠術の目玉のマークが見えるだろ?それで
ロカロは催眠術にかかっていただけだ。だから、床の催眠術のマークを破壊したんだ。」
ロカロ「ごめん、僕、君に迷惑かけちゃったみたい。足手まといに。ごめん。ごめん。」英雄
「謝んなよ?お前は悪くねえよ。床の催眠術の罠に気づかなかったオレの注意不足だ。」
ハリーケイン「くっそーーーー!!!!」ハリーケインは得意の催眠術が効かなくなった英雄
たちを見て、やけくそになり、銀色の剣を取り出し、英雄に襲い掛かってきた。ハリーケイン
「催眠術を見破ったのはさすがだ。だが、剣術はどうかな?」英雄はハリーケインの猛攻を
完璧に防いだ。英雄「貴様の剣術、恐るるに足らず!!!」英雄は力強く剣を振り下ろし、
ハリーケインの剣を粉々に粉砕した。
そして、エクスカリバーが大きく発光し、ハリーケインを包んだ。
ハリーケイン「うあああああああ、助けてくれ~~~。」
ハリーケインは光から解放されると、床に倒れて、戦闘不能に陥ってしまった。いわるゆ気絶
というやつだ。あまりのまぶしい光に目がくらんだ。これはロカロの目の色を催眠術により
操作したお返しでもあった。
審判「ハリーケイン、戦闘不能により、この勝負、朝日英雄の勝ち!!!」
英雄「ふう。」英雄はホッとしたのか、いきなり床に尻もちついた。ロカロ「英雄、今回は
僕の油断だったから、気を付けるよ。僕も気を抜かないで相手や状況を観察するようにするね。」
英雄「頼むよ。」

英雄「明日だ。ついに明日、兄貴「好田大血」と対決することができる。体力を回復させるため
に早く寝よう。」明日の出来事にワクワクと緊張が入り乱れ、なかなか寝付けなかった英雄で
あった。


「朝日英雄」VS「好田大血」

朝日英雄「やっと、お前と戦うことができる。全力を尽くして、必ず勝つ!!!!」
好田大血「ん?それは、お前、水の石を持っていたのか!!!!!!!!」
いきなり好田大血は大声を張り上げ、いつもの好田とは違った雰囲気になった。
英雄「だったらなんだ?動揺するようなことなのか?」
好田「審判、私は棄権する。朝日英雄の勝利でいい。」朝日英雄「何言ってやがる!!!!
ちゃんと戦えよ。お前に勝つために1年間超ハードな修行してきたんだぞ?逃げるのか?」
好田「実は戦いどころではないのだ。トップ・オブ・ザ・アース以上に大切なものができた。」
すると、好田は目にも止まらぬ超光速で朝日英雄に近づき、水の石を朝日英雄から奪い取った。
朝日英雄「うっ、速い!!!速すぎる!!!!好田がその気になれば今の一瞬で勝負はついてい
たな。」好田「お前には世界を救うために協力してもらう日が必ず来る。世界はこれから今まで
に類を見ない危機に瀕するだろう。そのとき、この水の石が必要なのだ。朝日英雄「何が世界を
救うだ?お前がダルメシアで悪いことしようとしてるんじゃ
ないのか?」好田「情報というものは、偽物もたくさん出回っていることに気づけ。私のダル
メシアはただの慈善団体だ。私もお前を応援しているよ。弟よ。」好田大血は優しいまなざしで
英雄を包み込むように見つめた。好田「お前が倒すべき相手は私じゃない。それと同じように
私もお前を倒すべきじゃない。それに、まだお前は私よりも弱い。もっと強くなれ。いつか、私
以上にな。そうでないと困る。」英雄「ごちゃごちゃ言わず、早く戦え!!!」英雄は光剣
エクスカリバーで好田になりふりかまわず攻撃した。が、好田は華麗に全て避けきり、「さらば
だ!」

そういって、好田大血は姿を消した。一瞬で消えてしまい、朝日英雄は好田の後を追うことが
できなかった。ロカロ「好田が棄権なんてありえない。何か理由がないかぎり。でも、おかげで
一番の強敵と戦わないで済んで。このままなら、優勝できる確率が大幅に上がったからよかった
ね。」英雄「冗談だろ?よかねえよ。好田を倒せなくては意味がない。でもあいつ、意味深なこ
と言っていたな。チシュウの言っている、好田大血が黒人を奴隷にしようとしているとかそうい
うのは全て間違ってる可能性も出てきた。好田はダルメシアはただの慈善団体だって。それに
あいつが一瞬見せた優しい雰囲気は、とても世界制覇しようとしている悪人とは思えない。なに
が真実なんだ?」

姿を消した好田大血は闘技場の外の青空を眺めながら・・・

好田大血「悪いな。弟よ。まだ、今のお前では私には勝てないんだよ。もっと強くなりなさい。」
すると、自分の顔のほっぺたに切り傷ができていて、少し血が流れていることに気づいた。
好田「まさか、英雄が?ふん、これからの成長が楽しみだ!!!私に傷をつけるとはな。」
好田は笑顔で嬉しそうだった。


3年前のある人の会話

好田大血「本当にそんな危険なことを実行するおつもりなのですか?」???「そうだ。お前だけ
は私の部下として美味しい思いをたっぷりさせてやる。全世界の人間が私の部下になるのだ。
しかし、人口が増えすぎた。このままでは地球は人間が住めなくなる日がくるだろう。そうなら
ないうちに全人類の50%ほど削減する必要がある。」好田大血「しかし・・・」???「なん
だ?私に逆らう気か?お前はただ私の言う通りに動いていればいいのだ。分かったかね。」
好田大血「・・・はい、分かりました。」


朝日英雄は好田大血が棄権して、すぐに大ニュースを目にする。
「アメリカがパネマに核兵器使用。死者150万人以上。」
英雄「アメリカは一体、何考えているんだ?アメリカらしくない。いくら敵国とはいえ、
軍事衝突は避けていたはずなのに。いきなり核兵器とは。」ロカロ「こわいね。アメリカは
早まったね。今、世界各国の首脳から非難ばかりされているよ。」チシュウ「やはり、やって
しまったか?これから人類史上類を見ない伝染病が流行るだろう。」英雄「伝染病って何の?」
これはダルメシアから入ってきた世界でも極秘の情報なんだがな、そのアメリカが使用した
核兵器、核爆弾には恐ろしい伝染病ウイルスが搭載されているらしいんだ。つまり、細菌兵器だ。
しかも、そのウイルスは人から人にすぐに感染し、殺傷能力が高いらしい。これが本当ならこれ
から数えきれないほどの死者や犠牲者が出るだろう。真っ赤な嘘であってほしいし、そう願って
る。」英雄「ダルメシアって、好田大血の組織だよね。そこの情報をなんでチシュウが手に入れ
られるの?」チシュウ「ダルメシアに私たち、地球プロジェクトのスパイ、情報屋がいるんだ。
貴重な情報を売ってくれる。高額だがな。」

このチシュウの情報は正しかった。アメリカが使用した核兵器には細菌兵器が搭載されていた。
チシュウ「水の石もトモアロウと同様、世界を救うために神が作った伝説の古代道具とされて
いて、エジプトから発掘された2500年前の予言の書「太陽と月」には、水の石は、
人類滅亡の危機を救うと書かれている。私がお前に渡した水の石は35年前に
パトリック・マネランと戦った時に手に入れたものだ。しかし、世界には内緒にしては
いるが。英雄、お前が持っておいたほうがいいと思ってな。英雄「パトリック・マネランって
アメリカの大統領だろ?なんでそんな奴と戦うんだよ?チシュウ「パトリック・マネランが
第3次世界大戦を始めるという噂が入ってな。アメリカの領土を広げるんだと言い出して、
標的がアジアになったんだ。それを止めるべく、説得、またはやむを得ない場合は暗殺も考えて
いたんだが。私はパトリックに敗れそうになったのを仲間のマルタス・ウォーキングに助けられた
んだよ。好田大血はパトリック・マネランの最側近で一番弟子だ。
英雄「好田に上司が?好田の上がいるってことか?好田はオレの兄貴なんだろ?
倒したくなくなったよ。本当は悪じゃないかもしれないし。」チシュウ「最後まで油断させておいて
世界を乗っ取るつもりの可能性もある。パトリック・マネランに操られてる可能性もある。絶対
に好田大血が甘い言葉などを吐いても、油断してはいけない。絶対に!!!」

パネマではアメリカの核爆弾に搭載されていた伝染病を起こす細菌兵器により、放射能や爆風
などの死傷者より、その細菌兵器による死者が相次いだ。死者は徐々に増えていった。
男性が感染した致死率は65%、女性の場合は致死率80%というあまりにも危険なウイルス
だった。150万人だった当初の死者数は一か月後には360万人にまで達した。このアメリカ
の細菌兵器の存在を知っているのは、アメリカ軍の上層部すら知らない超極秘事項だった。
パネマの人たちは放射能の影響で死者が増えていると勘違いしていて、本当は細菌兵器が使われ
たという事実すら知らないでいた。アメリカは細菌兵器を使ったことを全世界に知られたくなか
ったので、徹底的に極秘にしていた。全世界の国もアメリカの核兵器使用を非難したが、それで
も細菌兵器が使われたことはみんな知らない。全世界が。ただ、チシュウや好田大血などしか
知らない。

アメリカVSパネマの戦争から3か月後

好田大血「よし、ようやく完成したぞ!!!」好田大血はひそかに建設していた自分の研究所
で歓声を上げた。

英雄はトップ・オブ・ザ・アースの大会がアメリカとパネマの戦争により延期になり、最悪
中止になるかもしれないことで、いきなりやることがなくなって暇になってしまった。

英雄は1人、公園のベンチで座って感慨にふけっていると、なんと好田大血が姿を現した。
好田大血「よお、弟よ。ちょっと用がある。一緒についてこい。」英雄「お前、決着つける気に
なってくれたのか?」好田大血「全然違う。お前に見せたいものがある。」
黒塗りの高級リムジンに乗せられた英雄は好田の屋敷に向かった。100億はするんじゃないかな。
というくらいの超豪邸だった。好田「アメリカがパネマとの戦争
で核兵器を使ったが、それに搭載されている「ANTウイルス」と呼ばれる超がつくほど危険な
ウイルスがパネマにばらまかれたのは知っているか?」英雄「ああ、チシュウから少し聞いた。」
好田「私はそのANTウイルスの即効性のワクチンを独自に開発したんだ。3年前から私が独自に
建設したウイルス研究所でワクチンの開発を研究していてな。いつかANTウイルスが使われる
ことがあった時のために!!!しかし、ワクチンの大量生産がなかなかできないでいた。大量
生産しているうちに人類は滅んでしまうかもしれないくらいの殺傷能力があるんだ。ANT
ウイルスは。ワクチンをみんなに使うには「水の石」が必要になる。お前が持っていてくれて
助かったよ。見つけた時は驚愕したものだ。この水の石の本当の使い方を知っているか?今から
見せてやる。」英雄「ワクチンを独自で開発しただと?どこまでお前は優秀なんだよ!!!」
好田「褒めるな。照れるだろ?この水の石の本当の使い方は雨を全世界中に長期間降らせること
ができるんだ。どんな雨を降らせるかを選択したりもできる。その素材があればな。ワクチンの
雨をパネマやANTウイルスが広がった地域に集中して降らせれば、ANTウイルスは消滅する
。私のワクチンはANTウイルスを消滅させる力を持っている。これでも世界最高峰の大学で
化学を学び、全米一の成績を残したこともある。このようなことをしたくてな。」英雄「もう
あんたには絶対に敵わないよ。あきらめるよ。有能すぎる。」好田「いや、お前が水の石を
持っていなければ、このワクチン降雨計画は実行できなかった。つくづく、一人では夢や理想は
実現できないということを実感したよ。他人との協力が必要になるんだってな。」好田は
ANTウイルスが蔓延しているパネマ地域、ウイルスが蔓延している可能性がある地域を見極め
大がかりなパソコン機器に水の石を取り付けた。そして、水の石が、水を操る能力者、「トニル
スキー・アラン」に雨を降らせるように指示した。指示を受けたトニルスキー・アランはワクチン
の雨を好田が指示した通り、降らせた。トニルスキー・アラン「レイドロ、やるよ!!!はあ!」
トニルスキーは両手を合わせ、念じた。すると、パネマなどの地域に好田が指示したとおりに
ワクチンの雨が降り注いだ。好田「この水の石は、水を操る能力者に雨を降らせるために本来
使うんだ。まあ、持ってるだけでも多少、水の能力が使えるようになるが、雨までは降らせられ
ない。水を操る能力者であるトニルスキー・アランに指示がいくようになっていたんだ。しかし
、私はトップ・オブ・ザ・アースの大会会場に向かう飛行機内で、エジプトの予言の書「太陽
と月」についての本を読んでいたんだが、やはり予言の書は本物だ。未来を的確に正確に予言し
ている。まるで、初めから計画されていたストーリーのように。この予言の書の神秘さ、謎は
深まるばかりだ。」

ワクチンの雨が降り注ぎ始めて1か月が過ぎた。

地球上からANTウイルスは消滅した。こうして、世界の、人類滅亡の危機は回避された。もし
好田大血がワクチンを開発してなかったら1年後には1億人、2年後には10億人の死者が出て
いただろう。また、英雄が水の石を好田大血に見せていなかったら、ワクチンの雨は降らせられ
ずにいただろう。英雄は水の石をチシュウから授かっただけだが、それでも好田大血が水の石を
使えたのは英雄が水の石を持っていたからであり、2人が人生で初めて協力できた瞬間だった。


トップ・オブ・ザ・アースは延期になっていたが、中止になることはなく、また再開された。
が、優勝候補筆頭の好田大血が棄権したことで大会の熱は下がっていた。結局、朝日英雄が
決勝にまで進み、決勝の「チーター」を破り、優勝した。が、朝日英雄は全然嬉しくなかった。
本当の優勝は「好田大血」だったに違いない。ANTウイルスが全世界に広がる前にその
ウイルスのワクチンを開発し、全世界を救った。その前も風邪を75%治す薬も開発し、
まだ20代なのに何個もノーベル賞を取り、1度ならず2度までも世界を救ってしまった。
朝日英雄は絶対に勝てないとしか思えなかった。自信をなくした。あいつの弟のはずなのに
全然兄貴の好田には及ばない。英雄はとても悔しがった!!!!英雄「ちくしょおーーー!!!」
英雄は思い切り、白いコンクリートの壁を蹴り飛ばした。それは他人の家だった。すると
家主があわてて音を聞いて外に出てきた。家主「君か!!!」英雄「だったらなんだよ?」
ロカロ「まずいよ、謝ろうよ。」英雄「やんのか?」すると、家主
「何かイラついたことでもあったのだろう。私の家に入りなさい。お茶でも飲んでいきなさい。
英雄は我に返った。自分の最低さに怒りがこみ上げた。英雄「俺は、最低だ!!!!うああああああ!!」
家主「落ち着きなさい。君は朝日英雄君だね?トップ・オブ・ザ・アースで優勝したらしいじゃ
ないか?ニュースを見たよ。これから世界のトップとして5年間全世界を指揮していくんだよね。
そんなすごい人とはぜひ話がしてみたいんだが。サインもらってもいいかい?何があっ
たんだ?話を聞かせてくれないか?」

英雄「ああ、実は・・・・・」英雄は家主に洗いざらい今の自分の悔しい気持ちをぶつけた。
家主は好田大血と朝日英雄が霊的兄弟ということに大きく驚いた。英雄「自分は好田に負けて
ばかりで悔しすぎて、八つ当たりしてしまいました。申し訳ございません。」家主「いやいや、
逆に君に会えて嬉しいよ。うちの家の壁を蹴ってくれてよかったよ。」季節は夏の8月になって
いて、20度に設定されたクーラーの効いた家主の家でのんびりとお茶だけでなく、豪華な
日本料理をごちそうになった。英雄はサインを書いてあげた。家主「このサインは一生の家宝
にします。そうだ、このサインのお礼にこのキレイな太陽の石をあげよう。」英雄「太陽の
石か。きれいですね。もらっておきます。」オレンジ色に輝いたきれいな宝石みたいな石を
ポケットにしまい、英雄は家主の家を後にしようとしたら、いきなり家主が「英雄、ちょっと
来い!!!」といい、強く英雄を抱きしめた。家主「がんばるんだぞ!!!応援してるからな。」
英雄は見ず知らずの人に抱きしめられ、少し違和感を覚えた。そして、家主の家を後にした。

家主の家に寄った帰り道、なにやらポケットから色とりどりの光が放たれていた。太陽の石が
発光している。英雄の首にかけていたチシュウからもらったペンダントの月の石も光を発し
だした。英雄「月の石はオレの母親からもらったものだとチシュウは言っていたな。」
英雄「なんだ?まるで太陽の石と月の石が共鳴しているみたいだ。なにが起こるんだ?」
すると英雄は気が付くと、真っ暗な空間に地球のバーチャル映像が流れているところに立って
いた。すると女性の声が大きく空間中を駆け巡った。「ナクサス111よ。これから世界の王
として、たくさんの試練にぶつかるでしょう。。兄であるジョーカー000と協力して地球を
守りなさい。私の名は地球を創造した神「エルキサドル」あなたたちのことは常に見守っていま
す。あなたたちが使命を全うして霊界へと戻ってきた時を楽しみにしています。ああ、早く抱き
しめたい。我が息子たちよ。ああ。」声が止まると、英雄は目を覚ました。英雄「ん?どこだ?
ここは?」
英雄はロカロにより看病されていた。
ロカロ「あっ、英雄が気が付いた。いきなり倒れたからすごい心配したんだよ?太陽の石と
月の石が光りだして、英雄は気を失ったんだよ。道を歩いていた通行人が救急車を呼んでくれ
たんだ。」英雄「ああ、心配させてすまない。」英雄はポケットに違和感を覚えた。ポケット
にはカードが一枚入っていた。「母親の愛」と書かれていた。そういえば、1人暮らしにする
といって母親とは1年まるっきり会ってない。トップ・オブ・ザ・アースを優勝したことを一応
報告しにいこう。寂しがっているだろうからな。トレーニングに集中するために電話番号すら
教えずに出ていったからな。もう1年、まるっきり会ってないし、話もしてない。さすがに
会ってやらないとな。

英雄がお世話になった太陽の石を渡した家主が変装を解いた。それはなんと英雄のお父さんで
ある朝日神父であった。朝日神父「英雄よ、がんばってるな。私は陰でお前を応援しているか
らな。」神父はトップ・オブ・ザ・アースの優勝の新聞記事に載っている英雄の写真を見ながら
涙を流した。成長していく我が子の姿を見るのは嬉しいし、感動していたのだ。
トップ・オブ・ザ・アースという大会は世界で一番注目されている大会であり、
優勝者は世界一これから有名になる。好田大血が棄権したことニュースに世界中がショックを
受けたが、これから実質、朝日英雄という若造が世界の王として全世界の国を指揮する権限が
与えられるので、朝日英雄は時の人となり、世界一の有名人へとなった。朝日英雄は道を歩いて
いるだけでも人だかりができてしまうのでマスクとサングラスで顔を見られないように変装する
形をとっていた。好田大血は注目されたりするのが好きな性格なので一切変装しない。同じ兄弟
でも性格は全然違うものだ。朝日英雄は短気で喧嘩っ早い。好田大血は冷静沈着で気が長い。

朝日英雄が偶然蹴った壁の家の持ち主が実の父である朝日神父だったのは、偶然ではなく、
朝日神父が作り出したバーチャルの仮想現実の中での出来事だった。朝日神父は我が子の様子
を見ようと機会をうかがっていたのである。バーチャル世界に英雄を知らず知らずのうちに
招き入れ、英雄と再会したということだ。なので、英雄が蹴った壁やその家はすべて朝日神父
が作り出したバーチャル世界のものなのだ。ロカロも英雄も全てバーチャルだったとは少しも
気づいてない。これはチシュウたち宇宙人たちの高度な技術によるものでもある。
たとえ離れていようと親子の絆は
強いのだ。。。変装をして英雄に再会した。神父も高度な変装技術を持っている。チシュウとジュリーの
地球プロジェクトの一員として。朝日神父がわざわざ変装して、バーチャル世界を使ってまで
英雄に再会したのは、照れていたという簡単な理由と、気づかれたくなかったのだ。
隠れながら見守っていたいのだ。どんなときも父は子を隠れて気づかれないように
見守っているのだ。親子じゃ話せないことも他人には話せるかもしれないという期待もあった。
英雄がチシュウとトレーニングしていた1年の間、会えなかった英雄の母親、朝日女神。
英雄は1年ぶりに会えると信じていた。