ショパン「ここはポーランドに環境が似ているんです。ほとんど同じといっていいくらい。
私は祖国ポーランドのことが忘れられなくて、同じような環境に住んでいるんですよ。」
英雄「きれいすぎる。美しすぎる。日本にずっといて外国に行ったことなかったから、全てが
素晴らしい芸術品に見える。でも、これは外国の方が日本の和風の建物を見ても、同じように
感動するんだろうな。オレはずっと生まれた時から和風の日本にいたから慣れてしまって感動が薄れて
いるだけで。」ロカロ「霊界でも車に乗っている人はたくさんいるんだよ。車に乗るのが好きな
人がたくさんいる。」チシュウ「ここの高速道路を入るんだな。車だらけだな。」きれいな快晴
の青空が広がり、ずっと永遠に続きそうな長い大きな道路を英雄たちを乗せた車は入っていった。
ショパン「あっ、あそこのピザ屋はよく行きます。チーズがたっぷりの上にイチゴがたくさん
乗っていて、何度も食べに行きました。あっ、あそこのサラダは美味しい!!!」ショパンの
解説が始まった。英雄はショパンがまじめで硬い性格みたいな感じがしていたので、ユーモア
あふれ、親しみやすい面白い性格のショパンを見て、とても意外な感じがして嬉しかった。
英雄「チーズにイチゴってなんか不味そう。」ショパン「それが意外にもおいしいのですよ。
食べたことが無いからそう思うだけかもしれませんね。」英雄「えっ、信号もあるの?霊界には
ないかと思った。」チシュウ「必要ないかもしれないが、地上の生活が懐かしくて好きな人の
ために様々な設定がされているんだ。全く、霊界を造った神は偉大だよ。信じられないくらい
完璧な摂理だ。」たくさん車が走る高速道路を20分くらい走ると車は小さな街中に入ってい
った。すると、いきなり自動車がいきなり走りが鈍くなった。ショパン「どうやら、今度はタイ
ヤが調子悪いようです。」英雄「えっ、パンクまでするの?霊界ではしないとばかり。」
ショパン「今、取り換えますね。」そうすると、ショパンは車のトランクを開けた。そこには
予備の新品のタイヤが入っていたので、それを持ち出し、なんと工具まで取り出し、タイヤを
取り換えはじめた。ショパン「まず、これをこうやって、車を浮かせて・・・・タイヤを取り
・・・・よし、タイヤ交換完了!」チシュウ「これ、わざとパンクさせたのかな?」ショパン
「そうなんですよ。何年間に一度、必ずパンクするように設定してあるんです。地上に似せて。
そのほうが面白いからです。霊界では何もする必要がないかもしれませんが、何もしないことほどつまら
ないことはないですからね。」ロカロ「凝ってるなあ・・・・」また、車に一同は乗り、車は
また出発した。英雄「ショパンさん、それより少し気になったことが。実はさっきショパンさん
は自分の作品の中で一番好きな曲は何かと私に聞きましたよね?そのとき、私はノクターン12
番と答えたはずなんですが、そのときショパンさんはあの曲は家族を想いながら作った曲。と
言っていましたよね?1300曲近くある曲の旋律をショパンさんは全て覚えているのですか?
今から200年前近くに作曲されたノクターン12番の旋律も覚えていたのですか?」ショパン
「なかなか細かいことに気づくね。そう、さすがに1300曲ある中ですべてのメロディーを
覚えているわけではない。忘れてしまっているのもあるし、200年前の目立たない曲だから
完全に忘れていたんだよ。でも、英雄君が気が付かなかっただけで、実は一瞬でノクターン12
番を霊界の音楽倉庫から取り出し、聞いたんだよ。それで、思い出したんだ。この曲は、孤独
な時に家族を思い出していた時の気持ちを表した曲だって。」英雄「音楽倉庫ですぐに音楽プレ
イヤーも使わずに聞けるんですか?」ショパン「ああ、君は霊界のことまだよく分かってないよ
うだね。音楽プレイヤーを使わなくても、聞くことが可能だ。イヤホンなどしなくても、ちゃん
と聞くことができる。地上では無理だが、霊界では可能なんだ。全ては思念通りの世界が表現
されるようになっているんだよ。」英雄「すごいですね。霊界って。」それからまた3分くらい
して、白いテーブルと白い椅子と濃い緑色したパラソルが立っているカフェらしき場所に車は
止まった。ショパン「さあ、着きました。ここが私が霊界で最も気に入っている店、カンカルで
す。」店の中からはコーヒー豆の匂いがほのかに強く漂っている。相当美人で有名な雑誌の
モデルになれそうなくらいのスタイルが良くて、大きなバスト、背が175センチメートルくら
いあって、笑顔で接客している女性がいた。英雄「ああ、とてもきれい。あんな人が彼女ならな
あ。」ショパン「彼女は私の友達でエリスっていうんだ。今、紹介してあげる。」ショパンは
エリスに英雄たちを紹介した。エリスはとても驚いている様子だった。3度目の救世主である
朝日英雄と地球最高責任者のチシュウというめったにどころか、ほとんど、いや、絶対に見ること
ができないと言わせるような大物が来たからだ。エリス「こんにちは、英雄さん。チシュウさん。
このお店に来店していただき、まことにありがとうございます。ショパンさん、いつもの
やつで?」ショパン「いつものコピ・ルアクで。」ショパンたちは外に出ている椅子に座った。
英雄「コピ・ルアクってどんなコーヒーなんですか?」ショパン「地上でも有名で世界一高級な
コーヒーですよ。ジャコウネコのフンから作られるんだ。酸味が少なく独特の香りがあるんだ。」
チシュウ「コピ・ルアクね。私も何度も飲んだことがある。なんか拍子抜けしちゃったな。
ショパンが最もおすすめするコーヒーというからなんだろうなと思ったら。とても有名なやつ
じゃないか。新しい発見とかはできなかったな。」ショパン「引っ掛かりましたね。実はこの
コピ・ルアクはフェイク。本当に私が一番愛しているコーヒーは霊界特産のブレイディマウンテン
です。さあ、どうぞ。」なんと、ショパンはいきなり何かを念じると、机にコーヒーが現れた。
ショパン「これが、私のオリジナルのコーヒーです。私しか出せない味です。」チシュウ「念に
より作り出したショパン特製のコーヒーか。じゃあ、いただきます。」熱すぎないでちょうどよ
い温度になっているショパン特製の
コーヒー、ブレイディマウンテンを一口飲んだチシュウは・・・」チシュウ「えっ、これ、ただ
のブルーマウンテンじゃないか。いつも飲んでいる味だ。」ショパン「よく味わってください。
すぐに飲み干さずに、口の中に最低1分は残し、味わってください。」チシュウ「ん、いきなり
味が変わった。ブルーマウンテンの次はリンデントに変わった。それから、つぎはホームクエン
に。次は、バックヴィルに。どんどん、味が変化してきて、最後に全てを合わせたかのような
味に。」英雄「よく、コーヒー口に含みながらしゃべれるね。テレパシーで心で発声してるんだ
ね。」チシュウ「ある意味、期待を裏切られた。楽しかったよ。ショパンさん。飲んだことがな
い味になった。最後にね。世界中のありとあらゆるコーヒーを知り尽くしていたつもりだが、
知らない味だった。さすが、ショパンだな。」ショパン「ありがとう。美味しかったでしょ。
霊界でしか飲めないんだよね。こういういろいろと味が七変化するコーヒーは。私は意外性と
予想外を大切にしているんだ。新鮮というものも大事にしている。芸術家らしいでしょ?」
英雄とロカロもショパンのブレイディマウンテンを味わった。英雄はあまりコーヒーに詳しく
ないが、史上最高に美味しかったとショパンにお世辞を言った。ロカロもそれに合わせた。
ショパン「英雄さん、これから大変ですね。世界の王としての仕事とか。私も地上にちょこちょ
こ見に行くのですが、今、世界はとても問題だらけだ。英雄さんたちの活躍を楽しみにしていま
すよ。」英雄「ええ、楽しみにしていてください。不安ですが、不安な分、油断せずに世界が
よりよい方向に進むように努力しようと思います。」ショパン「強気ですね。そういうあなたが
大好きですよ。さあ。このスイーツと料理を味わってください。」エリスが料理を机にぞくぞく
運んできた。英雄は外国の料理を全く食べたことがないので、慣れない感じだった。有名
なポーランド料理であるピエロギがあった。中国名物で有名な水餃子にそっくりで、水餃子との
違いはスープが入っているか否かしかない。また、ビゴスも。ビゴスはポーランドの「おふくろ
の味」として有名。東欧料理ではおなじみの食べ物、「ザワークラウト」を使用する料理
で、異なった種類の肉とザワークラウトをコトコト煮込んで作る。「プラツキ」も、プラツキ
はポーランド人が一番好きな食べ物として有名でメジャーな名物料理。簡単に言うと、
「ジャガイモでできたパンケーキ」。レシピはハッシュドポテトとほとんど変わらない。
など、たくさんのポーランド料理が出てきた。英雄はやはり、ショパンはポーランド人だと思っ
た。ショパンの料理解説がとても丁寧で分かりやすく、とても面白く英雄たちは出された料理を
頂くことができた。このカフェ、カンカルにはショパンが弾けるようにと大きなグランドピアノ
が置いてあった。それで、ショパンはなんと英雄の好きな「英雄ポロネーズ」を弾きだした。
英雄「ああ、あのショパンが、あのショパンが、英雄ポロネーズを弾いている。誰もが聞きたい
と願っていたショパンの演奏。これがショパンの音色なのか。」英雄はまた、感動で心の底から
ショパンの本物の演奏が聴けることに歓喜した。その演奏はとてもやさしい弾き方だった。あま
り強く弾かずに、やさしく包み込むような、子守歌のような穏やかな演奏だった。とにかく
優しい、派手さをわざと出さない演奏だった。ショパンが弾き終わると、そこにはたくさんの
人だかりができていた。ショパンも霊界では有名人なのだ。みんなから「ワーッ!」という
歓声と拍手喝采が巻き起こった。100人以上が一瞬で集まり、ショパンたちを取り囲んだ。
ショパン「皆さん、私に弾いてほしい曲はありますか?リクエストどうぞ。」ショパンはみんな
に聞いた。たくさんのリクエストが出てきた。「ワルツ 春の訪れ」「練習曲 再会」「練習曲
友達」など。ショパンの演奏は一時間を超えた。そして、演奏が終わると、ショパンは英雄たち
を自動車に押し込み、急いでまた車を適当に出発させた。そして、ショパンはコンサートが今か
らあるから、今日はもうお別れにしましょうと言い出した。コンサートは決められた人しか入れ
ない。朝日英雄たちですら招待されないと入れないらしい。なので、ショパンとはここでお別れ。
ということになった。英雄は別れる最後にショパンに抱きついた。ショパン「ああ、英雄くん。
本当に君に会えてよかった。今日は楽しかったよ。素敵な思い出ができた。まさか、君から会い
にきてくれるとは少しも思わなかったんだ。初めて会った時は心臓が破裂しそうだった。
今日はありがとう。」英雄「ありがとうというのは
私のほうです。ショパンさんと話せるだけでも死ぬほど嬉しかった。今度、地球の王としての
仕事が進んだら、また来ます。ピアノ教えてください。」ショパン「もちろん、楽しみだ。君
とチシュウとロカロ君にも会えて私も極限まで喜んだものだ。今日は最高に良い日になったな。」
英雄「ショパンさん、私たちはたとえ離れていても絆でつながっています。いつも心の中で
一緒です。」ショパン「ありがとう。」英雄「フレデリック・・・ド ヴィヅェニャ」
英雄は唯一、知っていたポーランド語で「さよなら」と言った。

こうして、ショパンとの霊界での探検初日は終わったと思った。ショパンはフレデリックと呼ばれ、
しかも愛すべきポーランド語でサヨナラと言われ、気が変わった。
ショパン「ちょっと待って!!!やっぱり私のコンサートに来てくれないか?招待されてなく
ても私が頭を下げまくってお願いすればきっとお許しが出るだろうから。」英雄「えっ、それは
とてもとても幸運だ。ポーランド語が響いたかな?」ショパン「同じ言葉を使う人にはもっと
親切にしなさい。ふつうの人以上に。というお父さんからもらった言葉がありまして。だから
来てください。今度は馬車で行きましょう。私は生前、生きてた頃は馬車を利用していました。
コンサートに行くときは、初心に戻りたいので馬車を利用しているのですよ。」英雄「ありが
とう。あなたのコンサート、とても楽しみだ。」チシュウ「本当にいいのかね?ではお言葉に
甘えて・・・・」ショパン「英雄君は、私が生前、地上で生きていたころに作曲した地上に
出回っている私の曲はすでに全て聞いてくれたのかね?特に好きな曲、トップ10を教えたまえ
。」英雄はショパンの質問に答えていった。

ショパンは何やら、バッグから紙とペンを取り出し、なにやら書いている。少し覗いてみると
どうやら英雄が答えた好きな曲をメモしてくれているようだ。馬車で10分後に壮大なオレンジ
色のレンガが甘美なコンサートホールについた。ショパンは英雄たちを案内し、客席はすでに
全て予約でうまっているので、ショパンは特別にコンサートホール会場に特等席を2つ設置し
そこに英雄とチシュウを座らせた。そして、何やらショパンは指揮者や楽団の人たちと打ち合わ
せしている。なんとか必死に楽団の人たちに説得しているようだった。僕たちが特等席に座る
のを許してもらうために頭を下げてくれているのだろうか?浅はかな憶測だけが流れ、続々と
客がコンサートホールに入場し、席が埋まってきた。もう、かなり、2000人は超えている
だろう。人の波がコンサートホールをのんだ。そして、ついに本番か、コンサートホールが暗く
なり、指揮者や楽団などもみんな席に座り、準備が整ったようだ。すると、大きな始まりの音、
ドラムみたいな音が鳴り響き、一人の男性が大きなグランドピアノに向かって歩いてくる。
ショパンだ。しかし、さっきとは様子が違う。顔もさっきより若くかっこよくなっている。しか
も服装もさらに洒落て、コンサートらしい黒い紳士服を着ている。ショパンがピアノに座り、、
まず一番最初に弾いたのは英雄が一番好きで寝る時にいつもかけている「ノクターン12番」
だった。英雄はノクターン12番だと気づき、ショパンの思いやりに感動していた。そして、
ショパンに答えた好きな曲を全てコンサートで演奏してくれた。どうやら、指揮者や楽団の人た
ちと話していたのは、曲目のセットリストを変更するという報告だったに違いない。それから、
ショパンは英雄の好きな曲10曲を演奏し終わった後、いきなり立ち上がり、なにやらマイクを
出現させ、何をしゃべるかと思いきや。ショパン「実は、このコンサート場に、地球最高責任者
のイエスことチシュウさんと、地球で3度目の救世主であり、宇宙の神である朝日英雄さんが
いらっしゃっています。この方たちです。」そうすると、ショパンは英雄たちに近寄り
英雄たちの手を握り、立たせ、観客に紹介してくれた。そのときの客たちの歓声、驚きといった
ら、もう「ええええええええええええーーーーーー!」という感じで、全員が驚いたに違いない。
こうして、ショパンの2時間にも及ぶコンサートは幕を閉じた。
ショパン「今度こそ、お別れです。また会いましょう。」英雄は今度はショパンに抱っこ
してもらった。英雄「最高のコンサートだった。この日を一生忘れないよ!」
ショパンは我が子を見るかのように優しい微笑みと眼差しで、英雄たちと別れを告げた。