「…はぁぁぁぁ…よかった…」

進藤が盛大なため息をついて両手で顔を覆い、急にしゃがみ込む。抱きしめられたってのは気に食わないけど、最悪の事態にはなってなくてよかった…そう呟く。そんなに心配してくれてたんだ。あの電話の感じじゃ、私が取って食われるみたいに思われても仕方ないか。

「…で、土曜日はデートしたの?」

しゃがみ込んだまま顔を覆っている手の隙間から私を見上げて進藤は質問を続ける。もうそろそろ戻らないとミーティング始まっちゃう…

「…デートっていうか、創太も一緒だったから3人で出掛けただけだよ。進藤、そろそろ戻らないとミーティング始まっちゃうよ?」

「創太くんも一緒だったの?」

「…うん、急遽預かることになって、3人で出掛けることに…」

進藤、そろそろ、ともう一度促すと、立ち上がった進藤の真剣な眼差しに捕まった。目が逸らせない。そして片手で壁ドンされた。

「…東、俺、東のこと好きなんだ」

ガチャ。進藤が言うのと同時に資料室のドアが開く音がした。

「…東、いるか?」

部長の声だ。

「…はっはい!」