ずっとはしゃぎっぱなしだった創太は、車が出発してすぐに電池が切れた。

「創太、寝ちゃいましたね」

「ああ、ずっとはしゃいでたもんな。…東は遊園地、楽しかった?」

「…はい、とっても!今日は連れてきてくれてありがとうございました」

「…どういたしまして」

フロントミラー越しにまた優しく微笑まれる。
久しぶりの遊園地は本当に楽しかった。
遊園地自体が楽しかったのはもちろんだけど、一緒に来たのが蒼介さんだったから多分こんなに楽しめたと素直にそう思う。
まさか部長と、蒼介さんと遊園地に来ることになるなんて、少し前までは考えられなかったことだ。同じ会社の上司と部下。それだけの関係しかなかったのだから。
それが、創太がきっかけで急速にその距離が近づいた。仕事でしか関わりのなかった上司の意外な素顔。優しいかと思えばたまに意地悪で強引で、私が照れてしまうようなセリフもサラッと言ってしまう。ブラックコーヒーのように苦味のあるクールな人かと思っていたら、カフェオレのように甘い一面も持ち合わせている。
知れば知るほどその魅力に引き込まれている自分がいる。