たこ焼きもつまんでいると、

「東、俺もたこ焼き食いたい」

と蒼介さんに言われたので、パックごと渡そうとすると形のいい口を私に向けてパカっと開けた。
…こ、これは…あーんしろということですか?
こんな公共の面前で…?いやいや、何をさせようとしてるんだ!
あーんしようとしない私をじっと見つめて、でも口は閉じる気配がない。あーんするよりも逆にこの空気が無性に恥ずかしくなり、えいっと蒼介さんの口にたこ焼きを放り込んでやった。
もぐもぐしながらニヤリと笑う。
…これは、もしかしてもしかしなくてもメリーゴーランドの仕返しですか…

『…東、覚えてろよ』

そう言って不敵に笑った蒼介さんを思い出した。やられた…

すると「メイちゃん僕にもあーんしてー」

と創太も私の方を向いて口をパカっと開ける。

なんだか可笑しくなってきて、もう、子供が2人いるみたい!と笑いながら創太にもたこ焼きをあーんしてあげた。

ほどほどに腹ごしらえした後はゴーカートへ。
蒼介さんは1人乗り用の列へ、私と創太は2人乗り用の列へ並び、1人乗り用の列の方が少し早く進んだので蒼介さんが先に出発して行った。