それを聞いて、あぁ、蒼介さんらしいな、と思う。
思えば蒼介さんはいつも突然だった。
半年前の2度目の食事の時のキスも、デートの誘いも。
2ヶ月前、一緒に暮らそうって言ってくれたのも。
そのどれもが私を想ってくれているからこその言動だったことを、今の私は知っている。
涙と一緒に愛おしさが溢れる。
私はガバッと蒼介さんから離れて、びっくりしている蒼介さんにキスをした。
そして、涙でぐちゃぐちゃの顔で蒼介さんを真っ直ぐに見つめて言う。
「…蒼介さん…っ!私と結婚して下さい…!」
「…ぶはっ!なんで芽衣子も俺にプロポーズしてんだよ。ははっ、もう、やっぱり芽衣子には敵わないな。…はい、よろしくお願いします」
そう言って可笑しそうに、でも優しく微笑む蒼介さんはパーカーにスウェット姿で。
対する私はドレスアップしてはいるけれど、涙を流し過ぎてせっかく凛子さんにしてもらったメイクはきっともう見る影もない。
こんなチグハグな私たちだけど。
きっと夜景の見えるレストランでのプロポーズより、こんなプロポーズの方が私たちらしくて良い。
「…涙でぐちゃぐちゃの芽衣子も、可愛い」
そう言って蒼介さんは私のことをぎゅっと抱き締めて、
「もう一生離さないーー」
私の耳元で甘く囁いたーー。
蒼介さんとお付き合いをして6ヶ月。
同棲を始めてからは2ヶ月。
私は今日、蒼介さんの婚約者になりましたーー。
突撃‼︎お宅訪問‼︎と、予期せぬフライングプロポーズーfinー