…蒼介さん、一体いつからプロポーズなんて考えてくれていたの？

…蒼介さん、一体いつ、こんなの用意してくれていたの？

…蒼介さん、どうしてこの指輪、ぴったりなの？

そして、どうしてこの指輪はパーカーのポケットから出てきたの？

私はもう今更ながら指輪がパーカーのポケットから出てきたことが可笑しくて。

くすくすくす、涙でぐちゃぐちゃの顔で笑ってしまう。

そんな私を見て、

「…あぁ、ほんとにフライングしちまった」

と蒼介さんは困ったように微笑んで、私を抱き締めたーー。



蒼介さんによれば、こういうことらしい。

本当は今日の夜、夜景の見えるレストランを予約してくれていて。

そこでプロポーズしようと、用意した指輪は私に見つからないように隠していた。

でも予定外に凛子さんと花鈴ちゃんが訪ねて来たため、万が一凛子さんに指輪が見つかったら面倒だと考えた蒼介さんは自分が持ってるのが1番安全だと、パーカーのポケットに隠していたらしい。

そして夜まで隠そうと思っていた指輪だったけれど、どうしても今言いたくなってフライングプロポーズをしてしまった、という訳だったーー。