一瞬、身体の機能が全て停止した気がした。

瞬きひとつ出来ない。


だって、蒼介さん、それは………

どう考えてもプロポーズ、だよね………?


そしてパーカーのポケットから出てきたそれを見て、再び身体の機能が動き出す。

溢れる涙。
拭っても拭っても、止めどなく溢れてくる。

白くて小さい箱。
パカっ、と蒼介さんがそれを開けば、中にはキラキラ光る指輪…

「…受け取って、くれるか?」

何も言えないでいる私を、少し不安そうな瞳で見つめる蒼介さん。

違うの、蒼介さん、そんな不安そうな顔しないで?

胸がいっぱいで、温かくて、嬉しくて、幸せで、言葉が出ないだけなんだ…

私は一生懸命コクコクと頷いて、

「…っはいっ…!…蒼介さんっ、私もずっと、蒼介さんの隣にいたい、です…っ」

精一杯の気持ちを返した。

良かった、ホッとしたように微笑んで、

「…左手、出して?」

溢れる涙はそのままに左手を蒼介さんの前に差し出せば、それをスルスルと私の薬指に嵌めてくれた。