私の大好きな蒼介さんの匂いにふわっと包まれる。

「でも今日の花鈴見て思った。俺、たぶんこれから創太くんに嫌われちゃうかも」

「…え?それは絶対ないですよ…だって創太、蒼介さんのこと大好きですもん」

「創太くん、大きくなったら芽衣子と結婚するって言ってるだろ?」

「創太の場合は私かみなみ先生の2択ですから…私、天秤に掛けられてますから…」

蒼介さんの腕の中で戯けてみせると、

「…そうなの?…じゃあ俺には芽衣子だけだから、創太くんにはみなみ先生で手を打ってもらおうか」

蒼介さんは私を抱き締めている腕にぎゅっと力を込めて、真面目な声音でそんなことを言う。

「…芽衣子、俺、今からフライングするけど、いい?」

「…?」

「ダメって言われても、どうしても今言いたくなったから、言う」

何のフライングだろう?と思っていると、それを肯定と取ったらしい蒼介さんが、私を抱き締める腕を緩めて私の顔を真っ直ぐに見つめる。