「最後、姉貴に何て言われたの?」

鼻先が触れるくらいの至近距離で問われる。

最後…

『芽衣子ちゃん、蒼介と結婚式を挙げる時には私にヘアメイクさせてもらえたら嬉しいなっ』


蒼介さんとの結婚式……

想像してボっ。私の顔はさらに赤みを増す。

「……顔、真っ赤だけど?」

ニヤリと意地悪く笑う蒼介さんに、

「…っな、何でもないですっ」

ぷぅっ、とむくれて話題を変えようと試みる。

「そっ、そういえば蒼介さんっ!昨年の冬から私に片想いしてたって、本当ですか⁉︎」

その瞬間、今度は蒼介さんの顔がみるみる赤く染まって行く。

私からすーっ、と視線を逸らして、手の甲で口元を隠す。

「……姉貴に聞いた?」

「……はい」

「ったく、だから会わせたくなかったんだよ、あのおしゃべりめ…」

そう毒づいて、でも蒼介さんは教えてくれた、私に恋に落ちた日のことを。