……なんていうか、蒼介さんとは真逆のタイプの人だ……

静と動。陰と陽。

コントラストが強過ぎる。

「……姉貴、芽衣子が固まってる。離して」

そう言って蒼介さんがお姉さんから引き剥がしてくれる。

「あら、ごめんなさいね!可愛くてつい」

ふふふ、と笑って、

「蒼介の姉の伊藤 凛子です。芽衣子ちゃん、会いたかったわ。だって蒼介、芽衣子ちゃんに何度会わせろって言っても全然会わせてくれないんだもの」

だから、突撃お宅訪問しちゃった!

てへぺろ、と今にも聞こえてきそうな顔をするお姉さん。

「しちゃった、じゃねぇよ」

と呆れたように蒼介さんが突っ込む。

「……あっ、そっ、蒼介さんとお付き合いさせて頂いてます、東 芽衣子と申します‼︎」

慌てて自己紹介をし、ぺこり、とお辞儀する。

「何この子、やっぱり可愛いっ」

すっぴんのアラサーを捕まえて可愛いとは……

お姉さんの可愛い基準がわからない……

そう言うお姉さんは、まさに和風美人。
艶のある黒髪はストレートのロングで、前髪は眉の上で揃えられていて。

黒目がちな切長の瞳にスッと通った鼻筋は蒼介さんに似ている。

蒼介さんにお姉さん…広岡家の美形遺伝子、恐るべし。