「…東、今朝はいきなりごめん!」

進藤が急にペコリと大きな体を2つに折る。

「いやいや全然!むしろ私の方こそ、今まで進藤の気持ちに全然気づかなくてごめん!」

私も立ち上がってペコリと頭を下げる。

「東は悪くない!俺が俺のわがままで東には伝えないって決めたんだから。…まぁ、結局伝えちゃったけど…」

慌てて顔を上げた進藤が、はは、と自嘲気味に笑う。

「でも東の気持ちはもうわかってるつもりだからさ、これは俺の勝手なお願いだけど東とは今まで通りでいたいなー、なんて…」

ほんと勝手なんだけど…という進藤に私も慌てて顔を上げて被せ気味で答える。

「わ、私も!進藤さえ良ければ今まで通りでいたい…虫のいいお願いだってわかってるけど…進藤は私の大切な友達だから…」

そこで初めて視線がぶつかって、「…ぷっ」とどちらからともなく吹き出した。

「俺たち、なにやってんだろうな、いい歳して」

「ほんとだね、何か高校生みたい」

くすくす笑いながら、でもそれが今までと変わらない空気感で安心する。

「…東はさ、広岡部長が好きなんでしょ?」

急に真面目な声色で問われてハッとなる。
進藤にはちゃんと伝えなきゃ。私のことをずっと見守ってくれていた進藤には。