あまりにも悲しそうに空を見上げていたから私は声を掛けないわけにはいかなかったんだ。
あなたは悲しそうな声で
「いちか」
そう言った。だから私は
「なーに？」
って言ったんだ。
「きみ、いちかって言うの？」
「そうよ。」
私はこの時全てを知っていた。
「僕の大好きな人と同じ名前だ。」
君は悲しそうに笑いながら言った。
「あなたの好きな人ってどういう人なの？」
私はつい、聞いてしまった。傷付くだけなのにね。
「何事にも真っ直ぐに頑張る人だったよ。」
「だった？」
「うん。昨日事故で亡くなったんだ」
君は、目を細めながら言った。泣きそうになりながら。
だから私は言ってしまった。
「私と付き合わない？」