「ええそっかー。下の名前で呼ばれるのやなんだ?」


「うーん仲良い子にはやっぱり下の名前で呼ばれたいかな、」


「俺が羽瀬川さんって呼んでるのもひっかかる?」


きゅん、


きゅん?


いやそのセリフはずるいでしょ。


唐突すぎる。


何この人。天然なの?恐ろしい。このテクニックでどれだけの女の子落としてきたの。


「そりゃ上の名前で呼ばれるよりは下の名前で呼ばれた方がいいけど…」


「じゃあ俺もかっちって呼ぼうかな」


「え」


まってどういうこと。ものの進みが急すぎる。


普段なんでもオーバーリアクションに返す私でも言葉が出てこない。


「あ、塾長〜!!遅いですよ、」


たしかに後ろを見るとごめんごめんとへらへら笑いながら歩いてくる塾長が。


「俺あがりますね。かっちもお疲れ様!」


ほんっっとに呼んでる!!!!!


やばい、やばい、なんかきゅんきゅんする。


ううん落ち着いて。相手は女慣れしてる年上の男の人。


きゅんきゅんしないわけがない。


ただの私の勘違い。


彼氏と別れて少し経ってから恋愛というものに触れてきてないから久しぶりにきゅんってなったのをただ恋だと勘違いしてるだけ。


きっとそう。


「かなえちゃん?大丈夫?」


「だ、大丈夫です」


早いところ帰ろ。ここにいるのは良くない。帰ろう。


「さようならー!」


塾長にさようならいう時こんなに下向いてたことなんてない。


だって顔真っ赤なんだもん。


やばいなんか今日暑いな。