土から引っこ抜く際、彼らは表情一つ変えずされるがままの状態だった。

「…ほんとに、いいんですか?」
恐る恐る聞いてみる。果たして答えてもらえるのか。
すると、私の花は目を細め、白い歯を出してニカッと笑った。初めて表情が変わった。

眩しすぎる笑顔に、ギュンと心臓を掴まれるような感覚がした。彼の顔面が奇抜な色合いの花びらに囲まれてさえいなければ、私は本気で恋に落ちていたかもしれない。

ナナミの方をチラッと見る。塩顔くんは対応も塩なようで、眉間に皺を寄せて怪訝そうにナナミを見つめている。だが、頬がうっすら紅く染まっているのを確認したナナミは、声にならない声を上げ、一人で悶絶していた。

彼らの意思を確認したところで、改めて私たちは彼らを持ち帰ることを決意した。