透き通るような淡い水色。
熟した柿のようなオレンジ。

そのふたつにちょうど半分ずつ染まった西の空を瞳に映す。

ちょうど、といっても境界線なんてものはなくて、ただその両端が滲んでできた曖昧な色をしている。

例えるなら、レモネードみたいな。


透き通ってどこか遠くに感じるその空に、夕日色に染まった雲がところどころに浮かんでいる。

そんなぼんやりとした景色に、カメラを構えた。



冬の空がすきだ。

春夏秋冬。晴れ、くもり、雨。

季節や天気によっていろんな空があるけれど、わたしはやっぱりこの季節のこの時間帯の空がいちばんすきで、それはたぶん今後も変わらないとおもう。



「なーに、たそがれてんの」

写真に収める構図が決まって指に力を込めようとした瞬間。屋上の少し錆びついたドアが開いた音は拾わずに、その声だけが風の音に乗って、すう、と鼓膜を震わせた。


「べつにたそがれてなんかないよー」

ファインダーを覗いたまま、そう返事をしてパシャリ、と一枚シャッターを切った。

それから液晶を覗いて、撮った写真を確認する。

澄みきった冬の空気は冷たいのに、そのグラデーションがどこかあたたかくも感じさせるから不思議だ。


「で、リオはなにしにきたの?」

液晶から目を離し、振り向く。