昔ながらの小さな 庭付きの日本家屋 。
庭と いっても 石段の道の通りくらいのスペース しかない。 

周りには 趣味なのか 種類の分からない 、いくつかの
植物が 置いてある。



どこにでもありそうな 家族の風景 。

父親がいて 、母親がいて 女の子と 男の子 、四人で
自分たちよりも この立派な 二階建ての一軒家を 訪ねる。


重そうな 引き戸 を 『 ガラガラ 』 と 引くと
犬の鳴き声が きこえる。


母親は 犬に 怯えた。
吠えるのが 恐いらしい。


母親が 挨拶をし  女の子が  先に 行儀 悪く 靴を脱ぐ。

どちらかというと 男の子の方が 行儀は 良い。

「こんにちは」 と 女の子。





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ここには 夫婦が 二人で 住んでいる。
 
前は 息子も 一人いたが 何年か 前に 交通事故で 亡くした。
その替わりに 犬を 飼っていた。

小さいテリア のような 種類で 名前を クッキー と言う。



訪ねてきた家族とは 親戚に あたり 、父親の兄と 妻。
女の子と 男の子の伯父と伯母 。

父親には 多くの兄弟が あった。 その親戚の中でも
家と すごく 近いことから か 、車で 

父親と 母親に よく 連れて来られた。






『 まあまあ よく来たねぇ 』 と 伯母。



「 先に 仏さまに 参らせてもらおう かね 」

母親に 言われて 女の子と 男の子 は しぶしぶ
仏壇の 前に 座った。

早く 終わらせて 家の中を 探検 したかったか ら。


会った 記憶のない顔の青年が 仏壇には 祭られている。

従兄 だった。


二つの蝋燭に 火を 灯して 線香を 上げ、拝み終えると
もう 父親と 伯父が 会話を 愉しんでいた。







それから 何十 年 後かの 月日が流 れ
親戚の伯父が 昨日の夜 亡くなったと 父に メールで 伝えられ た。

近 頃  伯父は 身体の調子が 悪くて
ずっと 父が 面倒を みていた。

だから こころの どこかでは 私も 覚悟を してい た。




妻である 、伯母は 痴呆症で 伯父の死を 分からない。
それは 哀しい想いを しなくて良いから

しあわせなのかもしれないとも 想える。 
伯母の世話は 伯母の妹が していると 聴く 。



家族 で 訊ねると いつも 犬が 鳴いていた あの日本家屋 は
いずれ 取り壊されてしまうらし い。

伯父の告別式には 都会に 住んでいて 生憎 行けなかったので

告別式の時間に 一人 黙とうした。




その前は 知り合いの 他父 さんが 亡くなった。
まだ 癒えていないうちから 去年と 今年で 二人も うしなった。

泣きたくない瞬間 、なみだが あふれ

泣きたいのに なみだがでない 日が つづいた。


、だけど そんな 哀しみを 癒す 物が できた。
クリスマス前に 買った ワオキツネザルのぬいぐるみ だ。

自分の中で ノノ と なづけた。

ノノが つぶらな瞳 で こっちを じ・・・っと 観ている。
かわいくて  ! ぎゅっと 抱きしめた。

そうすると 、 ・・・まるで
自分が ノノに 抱かれているよう だ。

ぬいぐるみだと 普通 は 飾っておくものだろう が
ここでは ペットも 飼えないことから

ちょっとした 人形 いじりに なってしまう。


抱き枕 替わりとしても 買ったが ペット感覚でも
欲しかったのだか ら。


伯父の死が 悲しかったことも ある が
一番は 幼い時期には あたりまえに 在った 光景 が

無くなって 消えてしまうという 事 実。 


どこ。。 。か

こころの中に 大きな 穴が 空いてしまった様・・・で
あっけなさが 虚しく どうしたら 良いのか 解らない。



「 ノノ 伯父さんが ・・・ね  亡くなった 」

ノノが 頷く。


「 いままで 放っといた くせに ・・・ヘンだよ ね 」

ノノは 黙っている。



「 苦しまずには  逝 けたらしいけど

この寒い中 遺体が 凍っていたって 」



そんな 自分が 罰当たりに 想え た。