黒橋は、その見た目とは打って変わって、渡り終えるのにさほど時間はかからなかった。

 やはり、おかしい。

 しかし、渡った先には町宿場の灯りがポツポツと広がっており、私は安堵した。

 今日はここで歩を止めて宿をとろうとも思ったが、宿賃の相場も分かっていない。

 私の小さい胸と同じように、通行料を支払った今は懐が心もとなかったので、とにかく古寺を目指すことにした。

 宿場を抜けて少し広い通りに出ると、大きくはないがそこには夜市が並んでいた。

 それを見るに、どうやらこの町は何かの産業で潤っていることが分かった。

 夜市は法務局の許可が必要であり、その町は法外な税金を納めなければならないことを知っていた。

 しかも、このご時世に夜市が開けるなら猶更だ。

 私は古寺への道を尋ねようと、一件の魚屋を訪ねた。